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第25話

「結も食うか?」 結はパンケーキを食べ終わった後、俺のパスタを見ていた。 いくら食べるのが遅いと言っても俺が食べ始めたときにはもうパンケーキを4分の1程しか残していなかった結。 どんだけ遅くても俺より早く食べ終わってしまっていた。 それから結は俺のパスタを興味津々出ガン見してきていた。 最初は結もお腹いっぱいそうにしていたし、俺も気にしていなかったが少しずつ羨ましそうな目で見てくる結に俺も話しかけるしかなくなったと言うわけだ。 しかし俺がそう聞くと結は首をフルフル振って拒否してしまう。 「あか、お腹空いてる・・・ぼく、もらったらだめ・・・」 結は我慢しているのが丸分かりで俺は笑ってしまった。 こいつが来てから初めて笑って、こいつがいるから今も笑っていられる。 「結ー、一口や二口貰うくらい良いんだよ。俺だってそこまで食い意地張ってねーし、お前が食べたいならひとこと言え。」 「・・・ごめんなさい、ぼく、その・・・ぱすた?食べたかった・・・いい匂いして美味しそう・・・一口だけ、もらってもいい・・・?」 「はいよ」 俺はそう言って結の口にフォークに巻きつけたカルボナーラのパスタを入れてやった。 ある程度時間は経っているし、熱くはないと思う。 結は小さい口を懸命に大きく開けてそれを食べた。 モグモグ味わって食べているようで、結はパスタを飲み込むとこちらを向いて“美味しい・・・”と感動したように言った。 「良かったな。パスタ好きなのか?」 「ぼく、ぱすた食べたこと無かった・・・初めて・・・でも、ぱすた美味しい、ぼくぱすた好き・・・」 頬を赤く染め一生懸命感動を伝えてくれる結、俺は結が今日一個でも好きな物が増えるようにと連れてきたが正解だったらしい。 本当に良かったと胸を撫で下ろした。 「そうかそうか、気に入ったなら良かった。今度は家で作ってやるよ。一緒に食おう、な?」 「ぱすた、あかの家で作れるの・・・?」 「作れるぞ。今度作ってやる、約束な」 「約束・・・」 そう言って結は小指を出してきた。 なんだ・・・? そう思い、俺は首を傾げる。 「約束・・・こうする、ちがう・・・?」 「ああ、あれか」 俺はしたことが無かった為全然思いつかなかったが、確かにこんなのがあった気はした。 結に小指を出した。 笑顔ではないのに嬉しいのが伝わってくる顔、俺はこいつと出会ってからこの顔が好きになった。 結が俺の指に小指を絡めてくる。 何回か縦に振って解いた。 「ありがと、う・・・うれしい・・・」 笑顔ではないのに嬉しいと分かる顔・・・ 俺は本当にこの顔が好きだ・・・

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