13 / 20
蝶は蜘蛛を手に入れる_貮
「目立つ所は駄目」
「じゃぁ、俺と恒宣以外が見れねぇ所につけるわ」
と、恒宣の脚を開き顔を埋める。
「え、ちょっと、藤春! やっ、だめぇ」
太 腿の付け根。きわどい個所へと吸い付いて痕をつければ、恒宣の目尻に涙を浮かべる。
「なんで、こんな恥ずかしい所……」
「この痕は、俺とおめぇだけの秘め事よ」
赤の痕を指で撫でれば、感じているようでびくびくと恒宣の体が震える。
「ヒメ、ゴト?」
「あぁ。誰にも見せんじゃねぇぞ」
わかったな、と、太腿を撫でていた手は濡れて反りたつモノへと触れて扱く。
「んっ、わかっ、あぁぁ……っ」
「今みてぇに、めぇいっぱい良い声で俺の為に鳴いてくんな、なぁ、恒宣」
流れ落ちる蜜を舌で舐めとり口に咥えてしゃぶれば、恒宣から艶かしい鳴き声がきこえた。
何度も味わったというのに、すぐに恒宣を欲しがってしまう。
いま一度まぐわいたいと身を引き寄せた所で、外から御免下さいと言う声が聞こえてきて。それを無視しようと思ったが、恒宣が客が来たと藤の腕を叩く。
野暮天がとぼやきながら、
「わりぃが仕事の依頼なら明日にしてくんな」
と帰るように言うが、
「いえ、仕事の依頼ではありません」
そう言って帰ろうとしない。
藤が舌打ちした所で、腕の中に抱かれていた恒宣がのんびりと、
「あれ、この声って……、どうやら黒田からの使いの者が来たみたい」
と言う。
「なんでぇ、そうなら早く言えよ」
恒宣が着流しへと手を伸ばしたのを止め、俺が行くと下穿き姿に着流しを羽織る。
「待たせたな。もしや恒宣を迎えにきたのかい?」
「いえ。芳親さまからこれを預かってまいりました」
そう風呂敷に包まれた物を手渡された。
「こいつは?」
「弁当です。それと恒宣様の事を一晩泊めてやって欲しいとの事です」
用事が済むと使いの者は頭を下げて帰っていく。それを暫く見送った後、包みを持って中へと入る。
ともだちにシェアしよう!