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蝶は蜘蛛を手に入れる_貮

「目立つ所は駄目」 「じゃぁ、俺と恒宣以外が見れねぇ所につけるわ」  と、恒宣の脚を開き顔を埋める。 「え、ちょっと、藤春! やっ、だめぇ」 太 腿の付け根。きわどい個所へと吸い付いて痕をつければ、恒宣の目尻に涙を浮かべる。 「なんで、こんな恥ずかしい所……」 「この痕は、俺とおめぇだけの秘め事よ」  赤の痕を指で撫でれば、感じているようでびくびくと恒宣の体が震える。 「ヒメ、ゴト?」 「あぁ。誰にも見せんじゃねぇぞ」  わかったな、と、太腿を撫でていた手は濡れて反りたつモノへと触れて扱く。 「んっ、わかっ、あぁぁ……っ」 「今みてぇに、めぇいっぱい良い声で俺の為に鳴いてくんな、なぁ、恒宣」  流れ落ちる蜜を舌で舐めとり口に咥えてしゃぶれば、恒宣から艶かしい鳴き声がきこえた。  何度も味わったというのに、すぐに恒宣を欲しがってしまう。  いま一度まぐわいたいと身を引き寄せた所で、外から御免下さいと言う声が聞こえてきて。それを無視しようと思ったが、恒宣が客が来たと藤の腕を叩く。  野暮天がとぼやきながら、 「わりぃが仕事の依頼なら明日にしてくんな」  と帰るように言うが、 「いえ、仕事の依頼ではありません」  そう言って帰ろうとしない。  藤が舌打ちした所で、腕の中に抱かれていた恒宣がのんびりと、 「あれ、この声って……、どうやら黒田からの使いの者が来たみたい」  と言う。 「なんでぇ、そうなら早く言えよ」  恒宣が着流しへと手を伸ばしたのを止め、俺が行くと下穿き姿に着流しを羽織る。 「待たせたな。もしや恒宣を迎えにきたのかい?」 「いえ。芳親さまからこれを預かってまいりました」  そう風呂敷に包まれた物を手渡された。 「こいつは?」 「弁当です。それと恒宣様の事を一晩泊めてやって欲しいとの事です」  用事が済むと使いの者は頭を下げて帰っていく。それを暫く見送った後、包みを持って中へと入る。

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