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第91話
「ああぁーっ……」
イキっぱなしで帰って来られなくなっていると、ふいに露出した肌にひんやりした風を感じた。
違和感を覚えながらも、快感に蕩けた頭にはその理由を確かめるという思考すら浮かばない。
「……帷さん……」
ドアの方から聞き覚えのある声が聞こえてきて、ようやく僕はそちらに顔を向けた。
「……っ!!」
そこに立っていたのは、ここにいるはずのない新谷くんだった。
呆然とした顔で僕を見ている彼の姿を目にして、自分の今の状況を思い出した僕は、身体中から一気に血の気が引いていく。
「ようやく騎士(ナイト)のお出ましか。
それとも、玲の新しい飼い主、なのかな?」
面白がるような幸人さんの声が無情にも響く。
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