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第105話
「ほら新谷君。あまり焦らしてやるなよ」
至近距離に立ちながらも未だ僕に手を出さない新谷君の手を圭史さんが掴む。
「……や、やめっ」
「っ圭、史さん」
馨君には何もしないで。
そういう意味をこめ、彼を見るも圭史さんはニヤリと笑うだけで。
「安心しろ。ちょっと手伝ってやるだけだ」
そのまま新谷君の手と自分の手を重ね、僕を貫いているマドラーへと導いた。
「さあ先を持って」
「ッん……!」
「新谷君。玲は激しくされるのが好きだからさ、ナカ、いっぱい擦ってから抜いてあげてよ」
幸人さんの意地悪な言葉も。
「少し捩るように動かすんだ」
圭史さんの意地悪な指導も。
「すみませ……ッ帷さん……っ」
馨くんのぎこちない動きも。
「っひ、ぁ……ッう……や……ッぁ!」
すべてが、ぼくをもう一匹の獣へと変えていく。
が。
ぐり、ぐり、と緩急を付けられるマドラーに思わず生理的な涙が溢れてしまい、動きが消えた。
「こら手ェ止めるなよ」
「と、帷さんが嫌がることは俺は……っ」
「はは、新谷君面白いねー。さっきも言ったけど玲の嫌はもっとって意味なんだよ?」
ねえ?と僕のモノに手を添え、幸人さんが耳元で笑う。
先ほどの痛みと快楽を思い出し、はっはっと浅く呼吸しながら「かおるくん」と名前を呼んだ。
「僕……こうやっていじめられるの好きだから……だから、安心して……?」
突き出すように腰を動かし、自らマドラーの刺激をねだった。
いっそのこと、馨君が僕を淫乱だと罵って獣になってくれたら楽なのに、と頭の片隅で考えながら馨君の瞳を見つめる。
(……でも君は優しいから……きっとそうはならないんだね)
「イジメテって言ってんだからその通りにしてやりなよ」
「そうだぞ。それとも新谷君は焦らすのが好きなのか?」
あは、俺達と一緒じゃん。
そんな幸人さんの声を聞いてか、ピクリと馨君が震える。
「……ます」
「ん?」
「俺は!貴方達とは、違います……ッ」
「ひ……ぅ、ああッ」
ぐちゅり、と突然動き始めたマドラーに思わず悲鳴をあげる。
「へえ……?」
圭史さんが馨君から、幸人さんは僕のモノから手を離す。
「そこまで言うなら特等席で見させてもらうか」
「そうだね。俺達より玲をキモチヨク出来たら、君を玲の新しい飼い主って認めてあげてもいいよ?」
「帷さんは、ペットじゃありません……っ」
人間です。
「ッん……ああッかお、るく……っ」
二人に煽られる度、マドラーの動きが激しくなり、身体がビクビクと反応してしまう。
「すみません帷さん……」
気持ち良くしてあげますから。
「っぁ、ああ……!!」
僕の反応を見て馨君は動きを変え、加減を変え確実に僕を追い込んでいく。
(も、イキたい……ッ)
「あは、良いねえ新谷君。ナカすごい締まるよ」
「俺らも気持ちいいぜ?」
「……ッ」
僕が感じれば感じるほど、繋がっている二人にも刺激を与えることになる。
それに気付いた新谷君だが、僕の限界が近いことを悟ったのだろう。
すみません、と一言僕に向けて謝った彼はそこで初めて。
「……玲、さん」
僕の目を真っ直ぐ見つめ、名前を呼び、唇を触れさせた。
「ん、ぅ……!?」
「――……抜きますね」
その言葉とともに再び、唇を塞がれ、ずるずるっとマドラーが引き抜かれていく。
「~~~ッ!!」
(も、ダメ……イッちゃう……っ)
そして、全てが引き抜かれた瞬間僕はやっと。
「ッ……ぁあぁああ!!」
待ち望んだ瞬間を迎えたのだった。
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