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第104話

 僕の声に促されて、覚束ない足取りで新谷くんーー馨くんが、僕のすぐ横に移動した。 「…っ、なんで…」 掠れた声で、馨くんが疑問を吐き出す。混乱し、戸惑い、怒り、それでも、この光景に欲情する彼の顔は泣きそうに歪んでいた。 「…ごめんね」

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