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第103話
「ッぁああぁあ!!!」
痛みと強烈な快楽に再び身を浸す。
チカチカと目の前が明滅し、足の指先がぴぃんと突っ張ってしまう。
「新谷君、可哀想な事するなあ」
「こんなにイキたがってるのに、ねえ」
よしよし、と圭史さんの手のひらが僕の頭を撫で、幸人さんは僕のモノを今度は優しく撫で擦る。
アメとムチ。
痛みと優しさ。
端からみれば歪なこの関係の始まりは、僕が望んだものだった事を思い出す。
辛い現実から逃げることも現実に立ち向かうこともできず、眠れない夜を過ごしていた僕を、救いだしてくれたのはこの二人。
眠れないと言った僕を、悩んでいた僕を。
『僕を、助けてください』
泣きついた僕を『頑張ったな』と抱きしめてくれた圭史さん。
『全部忘れさせてあげる』と慰めてくれた幸人さん。
蜜月が決して無かったわけじゃないことを、僕は全て思い出した。
いつからか捩れてしまったその糸は、蜘蛛の糸のように僕を絡めとり、別の闇へと引きずりこんだのだ。
(……ッぁ……)
「……どうかしたか?玲」
「大丈夫ー?トンじゃった?」
さっきまでと打って変わった、優しい二人の雰囲気に、記憶が入り雑じり錯乱しそうになる。
(……そう、そうだ。選んだのは、望んだのは僕……)
「ごめん……ね、新谷くん」
浅い呼吸を整え、彼を見る。
「……え?」
目の前の光景に彼は、そこに縫い付けられてしまったかのように動けない様子だった。
笑みをこぼし、今度は自ら、ゆるりと腰を揺らす。
「二人、は僕の、飼い主なんだ……」
「……っ!!」
新谷君に驚愕と困惑の表情が浮かぶ。
「僕も君のこと、だいすき、だったよ……」
動揺しているのだろう、目を逸らし何も言えなくなってしまっている彼を再び呼ぶ。
知られたくなかった。
知られていなかったら、もし、この先も普通の先輩と後輩でいられたなら、僕らはいずれ両想いになれたのかもしれない。
「なんだよ玲。ご主人様の前で堂々と浮気か?」
「お仕置きされたいの?」
からかうような二人の声音。
示し合わせたような交互の突き。
「っ……ちがい、ます……」
呻きつつ、新谷君に言わなくてはと口を開く。
もう二度と、僕と君は普通の関係には戻れないだろうから。
それならば、いっそのこと。
「新谷君……」
もう一度、誘うように腰を揺らす。
ぐちゅり、と二人のモノと精液で濡れ拡がった孔が水音を立てた。
「……新谷く……馨君もおいで……?僕を、かわいがって」
「とばり、さん……」
ごくり。
新谷君の喉が鳴ったのが、やけに大きく聞こえた。
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