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第136話

玄関の扉が閉まる。 待ちきれずに僕は馨の唇へ。 「ん…」 真っ暗な廊下。 しんと静まり返った空間に吐息が、スーツの衣擦れが、絡みつく舌が音を立てる。 「んっ…ふぁ…」 ――熱い。 どんどんと高まる熱に思考が奪われる。 馨が欲しい。 「玲、待っ、て…」 馨の言葉に僕ははっとする。 「馨…」 「っ、困ったな。話したい、ことあったんだ、けど…」

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