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第138話

馨の問いに僕は答えず、代わりにぎゅっとシャツを掴んだ。 僕の方が年上で、先輩だったはずなのにな。 いつの間にか甘えてしまう。 特に二人きりになるとタガが外れたみたいに。 こういう関係になる前から、新谷君は頼りになる後輩ではあった。 あったけど… 馨のシャツに顔を埋める。 途端に彼の匂いが強くなって、堪らなくなる。

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