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第40話

彼の手が、新谷くんとは反対側から、僕を支えてくれた。 もう何年も忘れていた力強いその手の感触に何かを呼び起こされたのか、僕の体はいっそうふらついてしまう。 「こちらです」 二人に両側から支えられたまま、彼が開けてくれたドアの中に入る。 十人も入れば一杯になりそうな会議室の、一番手前にあったイスに座らされて、僕はゆっくりと深く息を吐いた。 「途中に自販機があったので、水でも買って来ます」 新谷くんは心配そうな顔で僕を見ながらそう言うと、彼に「ちょっと失礼します」と声をかけて会議室を出て行こうとする。 「あ……」 彼と二人きりにしないでくれ。 思わず新谷くんにそう頼みそうになってしまったが、その前に新谷くんは出て行ってしまった。

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