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第42話

 やはり彼は僕を認識していた。  喉が張り付いたようで、声を出せるまでに時間がかかった。 「…久しぶり、…南雲(なぐも)、…さん…」  質問には答えないで僕は彼を名字で呼ぶ。  さっきまでの態度は僕をあくまで外の人間として接するという彼の意思の表れだろう。だから僕もそれに倣った。意地みたいなものだ。自分ばかりが振り回されていることが何だか悔しくて、それでわざとさっきの彼に倣った。  いや、怖いんだ僕は。彼のペースに合わせてしまうのが支配されるようで怖い。

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