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第43話

 彼は何を考えているのか黙って僕を見おろしている。  僕の子供じみた考えを見透かしているのか、それとも僕にはそもそも興味が無い―― 「…――っ?!」  気まずかったせいか考えにふけっていたせいか、彼から視線を外していたらしい。  肌に触れた感触で、初めて彼の手が僕の頬に伸びていたのを知った。 「ぁ……」  視線が合った。ここに来て初めてまともに彼の目を見た。

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