52 / 165
第52話
ハッ。
「カワイー声」
圭史さんが鼻で笑いながら、そのままぐりぐりと押し潰すような動きで中心へと刺激を与えてくる。
「っひ、ぁ……や……ッだめ……ッ圭、史さ……!」
「そんな、蕩けた顔して、なに、言ってんだ、よ」
なあ?玲。
ぞくぞくと背筋を走り抜ける痺れ。
今にも呑まれてしまいそうになるその感覚を、僕は必死に振り払う。
「ん、や……ッ違……」
「何が違うって?」
認めちまえ。
首筋を。耳朶を。
味わうように、彼の舌が這っていく。
「メールで、俺の名前を見たときから、ずっと」
ずっと期待していたんじゃないのか?
は、は、という自分の呼吸音がやけに大きい。
「こうしてまた、俺に支配されることを」
理性と本能の境界がどんどん、曖昧になっていく。
「っぁ、う……そんな、こと……ひぁっ!!」
ない。
言い切る前に、首筋に歯が立てられ、身体を大きく反応させてしまう。
「おねが……っも、だめ……っ」
自分でも驚くほどの甘ったるい声に戸惑いながら、彼の目を見る。
「ん?直接触って欲しいのか?」
圭史さんの男らしい、けれど長く美しさを持った指がベルトへかかる。
「っぁ……」
嬉しそうな声出しやがって。
喉を鳴らした圭史さんは、しかしそこで動きを止めてしまう。
「玲。お前が本当にどうしても嫌で止めてくれってんなら、今なら止めてやってもいいぜ?」
ともだちにシェアしよう!