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第51話

「…玲」 普段よりワントーン落とした声が、耳を擽る。  密着した体から、ふわりと甘く、けれど、どこか落ち着く香りがする。白檀の香りだ。僕が眠れるようにと彼がお香を買ってきて、そのまま彼の方がその香りを気に入ってしまったのだ。それ以降、圭史さんからはこの匂いがするようになった。どんな時も。ーー特に、セックスをしている時には、それを強く感じた。 「っ、んぅ」  思い出して、ズクンッと体の奥が熱くなった。圭史さんはクスリと耳元で笑い、僕の声を合図に熱い舌が首筋を這う。 「やっ、ぁ…っ」 「ふ…お前の『イヤ』は、『もっと』って意味だったよな」 昔と変わらない意地悪そうな声で言うと、太股の間に入っていた膝で、軽く反応し始めた僕の中心を押した。 「あぅっ!」

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