マンションの屋上。 この一歩を踏み出せば 全て終わる────。 自ら終わらせられない この思いに終止符を打つ。 僕はそう決めた────。 心から愛したあの人を 追って、ただその想いだけで、 此処────日本に来た。 けれど、この地では 僕は異質…………。 生まれつきの金色の髪。 碧い目────。 言葉は必死に覚えて 話せるようになった。 それも全部あの人に愛されたくて。 出来る事は全てやった。 けれど、あの人は僕を見ない。 抱かれても────そこに 愛情は微塵もなかった。 僕はそれでも良かった────。 あの人が触れてくれるなら、 例えそこに愛情が無くても それで良かった────。 でも……あの人は 僕の知らない女性と 突然籍を入れ、僕の前から消えた。 もう触れてもらえない。 もう逢えない…………。 分かっているのに この気持ちが止まらない。 ならば、無になろう────。 そう決めた。 僕には初めから何も無い。 初めから────。