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第16話 (15話からの続きシーンです)
「……ちょ、ちょっとばかり緊張してるだけですっ」
からかわれてるのはわかっていたけど、
初体験の連続に翻弄されていた倫太朗は、
そう答えるのが精一杯だった。
柊二は、そんな倫太朗の反応をおもしろがって
いるようで、さらに挑発してくる。
倫太朗の胸をわざとゆっくりろしゅつさせ、
突起の周りを指先でなぞりながら、耳元で囁く。
「色気のない声は出すなよ。最高の夜にして
やるからさ……りんたろ」
「ひゃっ!」
胸元で動く指と吐息がくすぐったくて思わず
竦めた肩口に、柊二はチュッと軽くキスを
落とした。
触れられた唇が思いのほか熱くて、全身が粟立つ。
心臓の鼓動が耳鳴りのように響き、
肩までドクドクしてきた。
――ドキドキしすぎて、心臓が口から飛び出そう
ってか倫太朗は、されるがままに固まってる事しか
出来てない。
(コレって、最悪とちゃう?)
「マグロは男も女も嫌われる」って、
ハウツー本には必ず書いてあるし、ちょっとは
自分の方からも何かした方がいいんじゃ……
なんて、グダグダ考えてるうち、体が勝手に動いて
彼の耳元へ寄った唇が ―― ハムっと、
その耳たぶを甘噛した。
「っ ――!」
小さく体を震わせ柊二は反応したけど、
「攻められるのも嫌いじゃないが、
今は大人しく抱かれとけ」
―― だ、かれ……っ!
そうなんだけど……そうなんだけど、
改めて言われると破壊力半端ない。
こんなキザったらしいセリフ、ドラマとか
小説の世界でしか使われないと思ってた。
まさか、現実にもあるとは……。
ってか、そんなセリフをサラリと言っちゃうなんて
柊二ってやっぱり場慣れしてる感じがする。
噂通りのイケメンだし、この年令なら、
それなりに経験豊富なんだろうな。
倫太朗がようやく落ち着いたのを確認したからか、
彼は次のステップへと進めていく。
だらしなくシャツの前を全開にした倫太朗の恰好は
見ようによってはめっちゃエロいけど。
柊二はそんな倫太朗が中途半端に着ていたソレを
一気に剥ぎ取った。
体が開放感に包まれると同時に、また緊張してきて
強張る。
柊二は、カチコチになった倫太朗の体を解すかの
ように背中に唇を這わせた。
ちゅっ、ちゅっと丁寧に何度もキスを繰り返し、
どんどん下へと移動する。
うっ―― 駄目。それ、ぞわぞわする。
優しく触れる彼の唇が、くすぐったくて堪らない。
快感をなんとかやりすごそうと、
つま先に力を入れて耐える。
それでもモゾモゾとした感覚から逃れる事はできず、
左右に身を捩った。
けれど、それがかえってよくなくて ――
今はうつ伏せにされているから、乳*の先っぽが
シーツで擦れて余計に刺激が強くなった。
この疼きから逃れたい、でももっと感じたい……
「ふぅ……んっ……」
気がつくと、喘ぎ声が漏れていた。
自らの口から零れ出たとは思えない声に、
自分でびっくりする。
学生の頃、所属していた演劇部の演技練習でだって
上手く出来た試しはなく。
『お前の喘ぎじゃ、せっかく勃ったもんも
萎えるわ』
って、いつも先生に呆れられてたのに。
やっぱ実地だと、自然とこんな風に声が出ちゃう
ものなんだ。
それに、ちょっと背中に触れられたくらいで、
こんな声が出してしまうなんて。
これからその……本番になったら、
どうなってしまうのだ、自分は。
期待と羞恥で、かあっと顔が熱くなる。
「もうそんな声出して。感じ易いんだなりんは」
覆いかぶさってきた柊二は、耳元に唇を寄せて
悪戯っぽく笑った。
自分が今どういう状態か、手にとるように
彼に知られてしまっている気がする。
「や ―― 恥ずかし、から……」
なんとか顔を上げ、彼の方に振り返りながら言う。
「う~ん ―― そのカオ、めっちゃそそる」
柊二には「ちゃんと強請れよ」って
言われたけれど、倫太朗はこの期に及んで
踏ん切りがつかずモジモジしていた。
その間、彼は胸の頂をこねたり、爪で弾いたりして
倫太朗の様子を半ば面白がって見ている。
そんな事を繰り返されていると、
触れられていない方の左乳*までビリビリ
ムズムズしてきて……
――あぁ……もうだめ。
でも、お強請りなんて……
その熱から逃れたくて、自分の指で左胸に触れる。
するとそこは、既にピンと勃ち上がっていた。
彼にバレないように、少しだけクニクニと指を動かす。
「コラ、ちゃんとわかってるぞ」
けれどそれはすぐ彼に見つかり、ゴロンと仰向けに
され手首を掴んでベッドに縫い留められてしまった
倫太朗はたまらず、内腿を擦り合わせながら身を捩り
快感をやり過ごそうとする。
「我慢するな。ほら、言ってみろよ」
柊二はニヤリ、と笑う。
そして胸に触れるか触れないかのギリギリの
距離まで顔を近づけ、ふっと息を吹きかけてくる。
「ひぅん……っ!」
―― もう、限界。
「お願い! もっと触って。もっと強く……っ!」
涙目になりながら懇願すると、彼はおもむろに
乳*を口に含んできつく吸い上げた。
キューッとした快感が、先端から下半身へと
駆け巡る。
思わず、彼の腰を強く掴んでしまう。
彼はいったん口を放し、今度は見せつけるように
舌を這わせてチロチロと優しく舐めはじめた。
「よく言えました。こうしてほしかったんだろ?」
「ん ―― んン……は、ぁ……」
「どうだ? 気持ちいいか」
ぴちゃぴちゃという、いらしい音を響かせながら
倫太朗の目を見て反応を窺ってくる。
「ん、気持ち、いい……」
弱々しく、呟くのがやっとだった。
恥ずかしいお願いをしてしまった事と、
目の前で繰り広げられる淫らな光景を
見ている事とで、顔から火が出そうだ。
……でも、やめてほしくない。
もっと気持ちよくなりたい、この男と――
さらなる快感への期待に、胸が高鳴る。
下半身が疼きっぱなしで、じっとしていられず。
倫太朗はモゾモゾと膝を擦り合わせ続けた。
「これからプライベートでは俺の事、名前で
呼んで欲しいな」
さっきから疼きっぱなしの下半身のせいで、
思考すらおぼつかない。
「な、まえ……?」
「そう。俺の名前。もちろん、知ってるよな?」
「え、っと ―― あ、はン……かがみ、せんせ……」
「それは役職だ。名前じゃない。ホラ、言ってごらん。
そしたらもっと気持ちよくなるご褒美をあげる」
「ご、ほうび? ホント?」
「あぁ、だから言って。俺のなまえ」
「あ、あぁ ―― は、ぁ……っ、しゅうじぃ……」
柊二先生……柊二の熱い手が俺の貧弱な胸 ――
お腹の上を通過しソコへ辿り着く。
「はぁっ!! だめぇ ――」
倫太朗は体を強張らせると同時に、
その手を制止した。
「ん、どうした? 止めちゃってもいいのか?」
「だ、だって ―― そこは……」
「んー、りんのココはもっと触って欲しいって、
凄く硬くなって、もうびしょびしょだ。ほら、
こうすると――」
って、俺が制止した手でそのまま、
パンツの上から倫太朗の……を
グリグリ捏ねくり回す。
「あ、はン ―― だめっ……」
「だめじゃないだろ」
そして、その手を尚もゆっくり小刻みに動かす。
「あ、あぁぁ ――っ、だめ、やめ ―― あ ……」
その瞬間、頭の中で花火が打ち上がった。
「あ ―― あ~ぁ、りんたろ、早すぎ」
「しゅうじの、いじわる……」
もう、彼の目を直視することなんてできない。
倫太朗はそっぽを向きながら、早口で呟いた。
「―― さ、今度は、俺のも気持ち良くしてくれる?」
膝立ちになって、乱暴にガウンを脱ぎ去り
ボクサーブリーフ1枚になった彼の中心もまた、
倫太朗と同じく興奮で昂ぶっている。
”―― 気持ち良く”って、やっぱ……アレ、
だよね?
とりあえず手をソコへ伸ばし、自分で触っておいて
思わず声をあげた。
「ひゃぁ!」
うわぁぁ …… 触っちゃった。
でも、何か、他の男のモノとは
スケールが違うってゆうか……
下着の上から触っただけでも、
何となく、デカさが想像出来てしまう。
「で、どーお? 初めて男の触った感想は。あ、いや、
”初めて”でもないのかなぁ~」
(はぁ、その通りです……)
「すごい。ゴリゴリしてて、固くて熱い……」
「ハハハ……直に見てみな」
そう言われ、素直にボクサーブリーフに手をかけ、
下ろして、瞬間フリーズ。
デ ―― デカイ……想像以上のスケール。
その後、ここで繰り広げられた事を倫太朗はあまり
よく覚えてはいない。
だけど、下半身へ僅かに残る疲労感で、
確かに柊二を受け入れたんだと分かり。
寝返りをうった時、隣にあった柊二の
寝顔ズームアップを見て、改めて
あぁ、とうとうこの人とヤッちゃったぁ~……
って、実感した。
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