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第31話(30話からの続きです)

「お前の匂い嗅いでるとすっげぇ落ち着く……  お前、いい匂いする……」   なんて言いながら、   クンクン犬みたいに鼻を鳴らし。   俺の首筋に顔を伏せてきたもんだから……   俺は今にも爆発しそうなくらい高鳴る胸の鼓動を   必死に抑え、「そりゃ、気のせいです」と   完全否定。 「いいや、するよ。思いっきり甘ったるい匂いだけど、  1度でも嗅いじまったらたちまち虜になる。  そんな匂い」   倫太朗、大ピンチ!!   とにかく今はこのクマ ―― いや、柊二から   逃れようと必死にもがく。   だけどこの巨漢はやっぱり、というか、   まるでビクともしなかった。 「おもしれぇー。オレと力比べか?」   んな、無謀な事する訳がない。   自殺行為でしょ。 「……もしかして、まだ酔ってます?」 「へっ! この各務柊二を酔い潰す気なら、酒屋ごと  買い占めろ。ハハハ ―― オレにとっちゃあ  アルコールは水と同じだ」   はぁ、そうですか。 「そろそろ、下に戻りませんか?」 「嫌だ。おめぇ、さっきっから四の五のうっせぇーぞ。  オレと2人きりなの、そんなに嫌なのか?!」 「いえ、そんな滅相もない……」 「……なぁ、倫」 「……はい」 「オレのもんになれ」   今のは聞き間違えだった? それとも幻聴? 「……は?」 「……お前が、好きだ」   やっぱりこの人、酔ってるじゃん。 「やっぱ酔ってますね、下に ――」   ”戻りましょう”と続くハズだった俺の言葉は   柊二の熱い口付けによって、封じられた、  ***  ***   同じ頃、この屋上への昇降口内の踊り場では。   母・英恵に”倫と柊二を呼んでいらっしゃい”と   言いつけられやって来たルナが、   開いたドアの隙間から柊二の大告白とそれに続き、   2人の熱烈キスシーンを目の当たりにし、   固まっていた。   自分の頭にコツンと、ゲンコを落とされ   ルナは呆然としたまま後ろを見た。 「―― お姉ちゃん」 「中坊のあんたにゃ刺激が強すぎだわね」   2人はどちらからともなく、階段を降り始める……。 「……姉ちゃんは、知ってたの?」 「ン、まぁね……元々あの柊二が各務のおじ様と  匡煌さんの申し出を素直に受け入れて、帰国したのは  倫太朗がいたからだったし」 「ふ~ん……ちょっと妬けるけど、お似合いだよ、  あの2人」 「母ちゃんと父ちゃんには内緒だよ」 「分かってるって、免疫のない中年にはキツイものね」  ***  ***    ※ 閲覧注意 R18   柊二からの口付けは、   初めはとても荒々しかったけど、   俺が少しずつ緊張を解いていくと、   そんな俺の呼吸に合わせるよう啄むような   バードキスになって。   互いの唇がくっついている時間も長くなって。   俺があまりの心地良さに、はぁ~~っと熱い吐息を   吐いた時 ――   半開きになった俺の唇へ柊二の舌がヌルっと   滑り込んできた。 「んン ――っ」   チ柊二の舌は戸惑う俺の舌をいとも容易く絡めとって、   俺の脆い理性ごと欲情に溺れさせてく。   あぁ……こんなキス、初めて……。   すっごく、気持ちイイ……もっと、欲しい。   俺は柊二の背中へ回していた腕に力をこめた。   それが、今俺に出来る精一杯のお強請り。   柊二の腕の力もぐっと強くなった。   キスは何度も顔の角度を変えて、   どんどん深くなっていく。   もっと、欲しい。   もっと違う所へも触って欲しかったけど。   こんなのこれ以上続けていたら、   きっと自分を抑えられなくなる。   俺は顔を逸らして、柊二の唇から逃れた。 「……倫?」 「これ以上、ダメ……怖い……」 「ごめんな……オレだって、奴 ――   迫田との一件が片付くまでって思ってた……でも、  無理だ。お前が欲しい……  オレのもんになれ、倫太朗」 「柊二……」   途端、自分の下半身へ襲った違和感に眉をひそめ    ”ん――?”下を見れば、 「ちょっ、柊二! どこ、触って ――??」 「体は正直だな。お前のココは、もっと触れと言ってる」   カァァーーッと顔が赤らみ、ハッとした。   そう言えば、あのカミングアウト以降、   こっちの処理はまるでしてなかった……。   カチャカチャとベルトを外す音 ――   それに続いてズボンのジッパーが下ろされる音。   俺は再びハッとして、そこを手で押さえた。   柊二の表情がちょっとだけ不機嫌そうになる。 「りんたろ、この手、邪魔だ」   そ、そんな事いわれたって……。 「どける気なぁい?」   そう耳元で囁くように言われ、   不覚にもその声に感じてしまって、   体がピクンと小さく跳ねた。      柊二はいたずらっ子みたいに瞳をキラキラ輝かせ、   俺がジッパーの上に置いた手を楽々避けて、   ズボンの前を寛げ、下着越しに俺のそこを撫で始めた。 「しゅ、じ……ほんと、だめ……っ」   そうは言えても射精感を堪えるのが精一杯で、   抵抗は出来なかった。   柊二がまた耳元で囁く。 「イキたいか?」 「はぁ、はぁ……しゅじぃ……」 「度を過ぎた我慢は体に毒だぞ。見てみろ、カウパー  駄々漏れだ」   見てみなくたって、自分のだからよく分かる。   下着にくっきりシミが出来るくらい先走りで   溢れてるってこと……。   そこから先の事は良く覚えていないけど。   確か、それから俺は柊二の膝下へ跪いた。   その後柊二に言われた言葉が断片的に記憶に   残っている ――   『―― オイ、固まんなよ ――     出来る訳ねぇだろ』   気が付くと俺は柊二に腰をがっちりホールドされ、   彼自身を突き立てられていた。 「あっ、ひっ、あン ――」   情けないとは思うけど、自分の口から出るのは   そんな切れ切れの喘ぎばかりで。 「あっ、はぁはぁ ―― はげし、すぎ……っ」 「しっかり踏ん張ってろ」 「センセ……」 「違うっ」 「……へ?」 「柊二だ」   そう言いながら俺に片足を上げさせた恰好で   下側から突き上げる。 「う、うわぁ ――っ、それだめぇ……」   これが何度目か?    なんて、もう覚えてもいないけど。   初めてドライでイッた。   それでも柊二の猛攻はとどまる事を知らない。 「あ、ひっ、も、だめ、むり……」 「オラ、お前のナカに入ってんのは誰なんだよ?!」 「しゅ……しゅ、じ ――っ」 「そうだ……忘れんじゃねぇぞ」   そう言いながら一際強く突き上げられた瞬間、   真っ白な空間に投げ出されたような感覚に陥って、   俺はそのまま意識を手放した。

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