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第223話
クリスマスイブの前日
〈ライト、吹雪、相談に乗って〉
ルイトからラインがあって、
ライトの家に集まった
「……俺……先生と……別れるかも…………」
「なんで、そんな事になってんだよ」
ライトが困って言う
「先生に……嫌いって言っちゃった…………」
喧嘩の内容はこうだ
昨日のライト達の中学の友達との集まり
それが引き金
最近、ずっと嵐と揉め気味だったルイトは、
なかなか中学の集まりに行くと言えなかった
そうこうしている間に当日になってしまい、
メンバーの一人から電話が来て発覚
まるで隠し事をしていたみたいになり、
嵐から責められて、
「行くの、やめろ」と言わたそうだ
口論になり、「初恋の男でも来るのか?」
と言われ、つい、カッとなって
「嫌い」と言ってしまったらしい
その後はネカフェで一晩を過ごし、
戻ってきた、
力なくルイトはそう話した
ルイトの目にじわっと涙がたまる
「ルイト……」
本当に手の焼ける二人だ
この分だと、嵐も相当落ちてるんだろうな
「うっ、う……ど……うしよう…………
せ、先生……
ごめん、って…………一言言ってから、
帰っちゃって、ひっく……
その後、連絡……ない」
「あの馬鹿」
見てらんない
嵐を呼ぶしかないな
スマホを取り出す
「吹雪!……だめ!やめて…………
今っ……は、先生と……話すのが怖い……」
「ルイト」
ルイトはボロボロと泣いていた
嵐…………
お前の大事な奴が泣いてるぞ
こういう時に側にいないで、どうするんだ
ポンポンとルイトの頭を撫でると、
ライトが心なしか悲しそうな顔をした
ライト…………?
RRRR…………
ルイトのスマホ……
「せ、先生だ…………」
「ちゃんと話せよ」
「だ、だって……!別れ……話だったら……?」
あんなにベタ惚れなんだ
それはないだろ
今の嵐は少し前の俺に似てる
感じた事のない激しい独占欲と嫉妬に
翻弄されて、気付かないうちに、
相手を悲しませ苦しめる
ルイトが出れずにいると家の電話が鳴った
ライトが出ると予想通り嵐だったみたいだ
「あ、いえ……ライトです……」
「はい」
「……分かりました」
「ライト!今の先生!?なんて…………」
「………………」
「答えろよ!……ここに……来るの……!?」
ルイトは青い顔して自分のコートを羽織った
「ルイト!待て!ちゃんと話した方がいい」
俺はルイトの腕をつかんだ
「はな!離せ!吹雪っ……今は、無理!!」
ルイトが暴れて、慌てて押さえる
そろそろ、いい加減に仲直りしてくれ
揉めてるとテーブルにぶつかり、
ライトのスマホが落ちた
俺のあげたキーホルダーが目に入る
「あ、ごめん……」
ケースがあるし、中は大丈夫か?
一瞬、スマホに気を取られた隙に、
ルイトは走っていってしまった
「ライト!嵐が来たら家で待たせてくれ!
俺はルイトを連れ戻してくる!」
これ以上
ライトとの時間を邪魔されてたまるか
明日はクリスマスイブ
今日中に仲直りさせてやる
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