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第91話

なんか最近、吹雪が甘い気がする 勘違い? ただの俺の願望………… バイトしててもそんな事ばかり考える 「俺さ〜、今、セフレが二人いるんだ」 「マジかよ!?」 年上だろうか 派手な二人組に圧倒される 「お前、本命いるだろ!」 「彼女の事は愛してるけど………… 彼女にはできない事させてくれるし」 セフレという単語に、本を整理しながら、 つい聞き耳を立ててしまう 「何をだよ!」 「色々だよ。セフレは従順だし、 何でもやらせてくれるから、 やめられないんだ。 男なら好きじゃなくてもヤれるだろ?」 ドキッとした 「お前、最低だな!!」 「本命には、嫌われたくないから、 マニアックなプレイとか、 乱暴にしたりとか出来ないんだよね。 そういうのはセフレ担当」 まるで自分たちの話みたいだった 酷く当てはまってる内容に気を落とす バイトが終わっても、 ショックから立ち直れず、ぐるぐる考えてた 家に帰ったらモヤモヤしそうだし、 寄り道でもしよう…… フラフラとゲーセンへ向かう 「…………ごめんね。 俺が悪かったから機嫌直して」 「他の子にニコニコするなんて酷い!」 高校生カップルが喧嘩してる…… 「好きなのは、お前だけだよ」 「本当に……?」 つい、ウッカリ見てしまった ……………………キスしてる 「人に見られちゃう……」 「好きだよ……」 彼氏が彼女を抱きしめてる 顔、上げらんねーよ…… 二人は手を繋いで、俺の事なんか、 目に入らないみたいに、 お互い見つめあいながら、 笑顔で通りすぎて行った ……………今日は一体なんだって言うんだ 幸せそうな二人を見送る あれが両思いだ セフレなんて…… 爛れてる関係を繰り返す俺とは全然違う 『男なら好きじゃなくてもヤれる』 さっきのお客さんの言葉を思い出し、 一人暗くなる 幸せそうな高校生カップルにとどめを刺され ゲーセンで遊ぶ元気すらない 公共の場でイチャつくなんて………… なんだよ。家でやれ 心の中でやさぐれる 溜息をつき、吹雪にもらったストラップを そっと握りしめた

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