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1-「イタズラの代償、思い知ったかよ?」
放課後、高校三年生の隹川 はブラコン気のある弟と一緒にセンター街をぶらぶらしていた。
「兄貴と一緒に外で飯食うの久々じゃね!?」
「そうだな」
「いっつも女とどっか行っちゃうんだもんよぉ、あ、そういえば女子高ミスコン一位の彼女とはうまくいってんの?」
「別れた」
「え゛!?」
「ちなみにソイツ、前の前の女な」
「なぬ!?」
「前の女とも別れたわ」
「うおお! 兄貴今フリー!? やりぃぃぃい!」
「どこで飯食うか決めてんのか」
「新しくできたパスタ屋さん行ってみる!?」
やたらベタベタひっつきたがる、茶金髪にヘアピンをつけた弟と共に人の行き来が絶えない通りを歩いていた隹川だが。
「や……やめて下さい」
ふと視界に引っ掛かった光景。
隹川より年上らしき男二人に一人の少女が絡まれていた。
やたらサラサラした髪、極々平均的なスカート丈、黒ハイソックスに黒ローファー。
オフホワイトのブレザーにはネイビーの縁取り、そしてリボン、胸元にはエンブレム、近隣にある私立学校の制服だ。
か弱い声で抗う相手に男二人はニヤニヤ、強引に腕をとってどこかへ連れて行こうとしている。
「そこに車とめてるから。ちょっとドライブでも、さ?」
「すぐ帰してあげるって」
「や……困る、離してくれ」
「なぁ」
涙ぐんでいた少女と男二人が揃って振り返れば。
呆気にとられている弟を背後にして不敵なオーラむんむんで立つ隹川が。
「俺のカノジョにおさわりした指、折るか潰すかしてもいいよな?」
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