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侵入者は住居人と出会う《2》side初瑪
「…ん…」
俺はそれを聞き、寝返りをうち、目を開ける。
「…ん…………んぁ…」
今まさに起きたような演技はしとく。
あとで、落ち着いてから聞いていたと話せばいい。
と、思っているとそいつと目があった。
さっきまでついていなかった電気が眩しく、数回目をぱちくりする。まぁ、すぐに慣れるだろう。
そして、思わず自然な笑みがこぼれてしまう。
こいつの顔、面白い…………!
さっきまで見れなかった驚いた顔とテンパっている顔が混ざったような顔をして、俺を見ていた。何がなんだかわからないのかさっきから口がパクパクしてる。
公園の池にいる飢えた鯉か…!
って、レベルで面白い。
あぁ、こいつ気に入った。しばらくこいつで遊べるな。ついでに聞きたいことを聞いて、それで遊ぶ約束でも無理矢理させよう。
…考えるだけで笑えてくる。
俺があまりにも笑っているからかそいつが、あわあわしながら、俺に声をかけてくる。
「……あっ、あの!」
よく見ると可愛い顔してるよな。
男っぽさもありつつ、可愛いらしい顔をしている。中性的な顔だちだ。
あ、…………いいこと思いついた。
俺はその言葉を無視し、ゆっくりと体を起きあげ、そいつに近づくと、なにも言わずに抱きしめる。俺には害はないしな。
俺はそのままさっきからパクパクしている口を、俺自身の口で塞いだ。
そいつの体がビクッとなる。
まぁ、世間的にいうキスをしていることになるな。俺はどっちもイケるからいいけど。
困惑しているであろうそいつからゆっくりと離れて、俺は不適な笑みを浮かべていう。
「おはよう」
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