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住居人は侵入者と出会う《2》

本日二度目の近所迷惑の叫びを俺はあげた。 何かあったのか? は?いや??? こっちが聞きたいわ!!!! 何でお前はそんな平然としているわけ? 何か変なものでも食べたのかよ? あぁん? いやもう今すぐ目の前から消滅して消えてくださいマジで消えてください早くどっか行けよこの野郎二度と俺の前に現れるなはよどっかいけよ何でここにいるんだよ何で………(早口) 「あのすみません、何で貴方様は俺のマイホームにいるんだよですのでいらっしゃるのですか?」 「敬語になってないぞ、それ」 「で?何でいるんだよお前は」 「敬語やめるんだな。まぁ、いいけど…別に俺、悪いやつではないからな」 いや、俺にはどうやって俺の家に入ったかわからない不法侵入のキス男のお前を悪いやつ以外に見れないから。 それだけはどうしても無理。 街角でアンケート問ったら10人中10人が悪いやつって答えるのは明確レベルだかんな。 そんなキス男は持っていた鞄の中から、俺の見慣れた物を取りだし、俺に向かって差し出した。  あっ、それ。 「これ、お前のだろう。帰るときにぶつかった拍子に落としてったらしいから届けに来ただけだ……」 それは、さっき碧と一緒にご飯食べる前に見つからなかった俺の手帳だった。  俺は差し出された手帳を受けとり、 「あ、ありがとう」と一言いう。 いい人だった……!! めっちゃいい人だった。 わざわざ手帳のために家まで届けてくれるとかめっちゃいい人じゃん! 誰だよさっき散々悪いやつって言ってたの! そいつに言ってやりたいわ…このキス男はめっちゃいい人でしたって… 「…って俺だよっ!!!」 それを聞くと、キス男が少しイラついた感じで話し始める。 「お前馬鹿なのか?なぁ、馬鹿なんだろう?」 「は?」 思わず思ったことがそのまま口からでてしまう。 「…手帳に住所書くまではいいとしてもな、家の鍵は一緒にするなよ馬鹿。そのおかげで俺は中に入れたけど、これ拾ったの俺じゃなかったらどうなってたのかわかっていたのか馬鹿。悪いやつに拾われて、悪用されてたらどうしてたんだ馬鹿。」 馬鹿馬鹿馬鹿うるさいが、文句いっても軽くあしらわれそうなので、グッと我慢する。 こいつなんなの?あれなの? 語尾に馬鹿つけないといけない人間なの?

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