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何もするなよ!《3》
「バカバカバァーカッ!」
起き上がる初瑪に今出来るだけの文句を言いたかったが、いったら“絶対”とやらが発動して、意地でもキスされそうなので初瑪が起き上がるのを遠目で見る。
「…痛っ……誰も本気でする訳ないだろう。普通の男子高生にそんなことされたら普通に痛いんだが」
「初瑪には前科があるの忘れてますか?!」
本気にするしないの問題よりもそれを言っているのが初瑪っていう時点でアウト何です!
わかって!
「俺のしたいことをするまでだ」
「俺のことも考えてくださいーーー!!!」
軽く叫ぶと初瑪が笑いながら元の位置に戻ってきて、「ココア作ってやるから怒るなʬ」と言って台所に向かった。
ココア作ってやるってそのココア俺ん家のだからな!ココアなんて温めて、ココアの粉末入れて混ぜるだけじゃん。
「完全に子供扱いするなよ!」
それを聞いて初瑪はただ笑うだけで、すぐに俺にココアを持ってきた。よくココアある位置わかったな。カレーのルーを俺が出す時に見えたのか?なんだよ、なかなか寝れなくてココア飲んで寝る子どもみたいじゃねぇか…俺。
渡してくるココアをオレが受け取ると、初瑪は元の位置に座った。もちろん警戒続行。
「美味しいか、りぃ」
「…………混ぜるだけじゃん…初瑪は」
「あぁ、そうだな」
そう返事し、初瑪はふわっと笑った。
普通に笑った感じの顔。
………ちょっとだけその顔いいなって思った。
でも、俺は別の言葉を返す。
「何もするなよ!」
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