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何もするなよ!《2》
初瑪に警戒しつつもお風呂に入り、今は2人でのんびりバラエティー番組を見ているところだ。
いや、俺の心はのんびりなんてしてられない。
何せ絶賛俺は警戒モードは実行中だからな!!もうなんか隣に座られているということだけでビビる。
お前は何をしでかすかわからなくて困る!!
「りぃ」
「はっ、はいっ!何?!」
「別に何もしないから隣で怯えてるな…俺がちょっと動く度にビクってなってるぞ」
「あ、いや、べ、別に怯えてないし!」
「思っていることが顔に出るって、りぃそのまんまだぞ」
なっ!そんな顔に出てたのかよ!俺。
確かに初瑪がちょっと動くとビビってたけど、初瑪が何も言わないから気づいてないと思ったじゃん!
「だって初瑪何してくんのか、わかんねぇんだよ!」
しょうがないじゃんかっ!
そんな俺を見て、初瑪は何やらニヤニヤしている。うぐぐぐぅ、俺その顔めっちゃ嫌いなんだよ何か企んでますよって顔!!
普段あんまり表情変わらないくせにこういう時だけわかりやすく変えやがって、こんにゃろ!
「もう一回キスしてやろうか?」
「結構です!結構です結構です!!」
全力で首をブンブンと左右に振ってお断りしてやった。何で好きな人でもないヤツとましてや初瑪とキスなんてしなければならん!
俺はそんな軽くねぇぞ!
全力で断ったのにもかかわらず初瑪は俺の肩に手を置き、近づいてくる。耳!耳聞こえてんのか!!アホか!おいおいおいおい!!近づいてくんな!そのムカつく綺麗な顔を今すぐ遠ざけてくれぇぇ!!!
「来るな!!来るなって初瑪!!手!手退けて!」
力づくで押し返そうとするが俺と初瑪との距離があまりないので、上手く腕を使えない。
こんなヤツに力負けするほど俺はヤワじゃないんだよぉぉ!さっきからなんか俺、弱い感出てるけどそんなんじゃ絶ッッッ対ない!!
ほんとの…ほんとの俺はもっと強いんだ!
「他のこと考えている余裕があるならこのまましてもいいよな、りぃ?」
余裕なんてないわ!!!
さっきよりも初瑪の顔が目の前にあって、慌てて力いっぱい押し退ける。
「っ!」
初瑪は後ろに体重が傾き、倒れそうになっていた。ほら、俺だって初瑪くらい退けることが出来る!絶対今度俺の本気を見せてやる!
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