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第1話
転がっている空き缶、端に寄せられたビールケース。車道からの細い光でかろうじて周りが見える薄暗い路地裏。月明かりさえもわずかにしか差し込まないビルとビルの狭間。
さらに光の届かない場所で、ハルキはポリバケツの上に体を押し上げられ、不安定に体を揺さぶられていた。夢中になって腰を振っている男に、ハルキは抵抗することをあきらめた。
空気にさらされた肌を風が撫で粟立たせる。室内の暖房が恋しい。
徐々に興奮が高まって、荒い呼吸の男はぎりぎりと首を締めあげてきた。強い力で首をへし折ろうとしているかの様に。苦しさに顔を歪めると、男はさらに興奮した。
自制が効かないのか、頭がぶっ飛んでいるのか、喉元をぎゅうぎゅうと押され、空気を吸おうと喘いでも呻く声すら出なかった。
男が果てるのを待つしかない。薄くなって行く意識と視界で、早く終わらないかなと空を見上げた。
細長く切り取られた小さな夜空。
その中に、さらに暗い影を見た。
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