31 / 54

第31話 愛撫

 知矢は兄に服を全て脱がされた。  そして兄もまた服を全て脱ぎ捨てる。  素肌と素肌が重なるのが心地よい。  愛する人の重みが知矢を安心させる。  兄の唇が知矢の耳の後ろから首筋へと這って行く。  ちょっぴりくすぐったくて、でもとても気持ちいい。  唇が鎖骨を通り、知矢の小さな乳首に吸い付いた途端、大きな快感が体中を駆け巡った。 「あ……や……」  甘く切ない声が零れる。  それが恥ずかしくて、知矢が両手で口を塞ぐと、典夫はさらに執拗に乳首を攻めて来た。  じっくりと舐め、舌で転がし、甘噛みすることを繰り返す。  知矢の体が小さく痙攣し始め、抑えきれない声が漏れる。 「んっ……あ……ああ……」 「知矢……かわいいな……、乳首、気持ちイイ……?」 「あっ……やだ……お兄ちゃん……」  生まれて初めて知る快感に知矢が体をくねらせ、感じ入っているあいだに、典夫の右手がそろそろと下腹部へと伸ばされる。  やがて右手は、乳首への刺激ですっかり昂った知矢自身へとたどり着き、やさしく握り込んだ。

ともだちにシェアしよう!