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願いが叶うその前に

2018/07/22 ・そんな顔をするのがいけない ・ミサンガ ・日焼け痕 タイトル『願いが叶うその前に』 19分 夏休みも半分過ぎた頃。 君の体から、憎々しい存在が消えた。 「ミサンガ、切れたん?」 「うん、やっと」 幸せそうに笑うなよ。 着け始めた頃、春ぐらいだったか、今時ミサンガなんて、と笑ったらえらい剣幕で怒られた。 大好きな先輩からもらったとかで、それはそれはもう大切そうに愛おしそうに、ミサンガを見つめていやがったっけ。 それからは、体の一部になったみたいに、先輩が君の右足首を支配した。 夏休みに入ってからはずっとサンダル履きだったから、ミサンガが外れても日焼け痕が残っている。 切れてもなお、君の体を支配する。 心はもちろん言わずもがな。 「これで願い事が叶うってか?聞くまでもないと思うけど、願い事って…」 「…うん」 ほら、また。 そんな顔をするのがいけないんだからな。 君の願いが叶う前に 俺の願いを先に叶えさせてよ。 「うわ、えっ?何すんだよ?!」 …そう、そんな顔が見たかったんだ。 乱暴に踏み荒らしたあの子の心と体は ミサンガ同様千切れてしまったかな?

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