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今年30周年を迎えるビッグユニットの曲からイメージして書いた話その3。 ーーーーーーーーーーーー 目覚めたら、汗をかいていた。 鼓動が早い。眠っている間にひどく疲れたようだ。 今さら、あんな夢を見るなんて。 今さら、あいつと会うなんて。 過ぎ去った日々は想い出と名を変え美しく彩られ、楽しかったこと、嬉しかったことだけが強調される。 そんな想い出を想い出として、心に蓋をしたはずだった。 日常の忙しさに隠れてしまっていた、遠い記憶。 もう、平気だと思っていた。 なのに、こんなにも、胸が苦しい――― 想い出は美しいけれど、俺があいつにしたことは酷いことしか思い出せない。 愛していたのに。なぜ苦しめてしまったのか? できることなら、許されるなら、もう一度会いたい。 ――会って、どうする? 詫びるのか、許しを請うのか、やり直すつもりか? わからない。ただ会いたい。顔が見たい。何てことない話がしたい。 俺の口から発することはもう禁じられた、その名を呼びたい。 つい、携帯を手にしてしまう自分を制す。 俺にはそんなことする資格はないと。 どこに行っても思い出す。 二人が出会った場所、二人で歩いた街並、二人で入った店。 どうしたらいい? どうすれば、この呪縛から逃れられる? 夢の中でもあいつは泣いていた。 俺が泣かしたのだろうか?わからない。 せめて、夢の中だけでも笑ってくれたなら、俺は救われるのに―――。 お前は俺の夢を見る?

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