いい感じかなと思ってた相手が脈なしだった、無駄足になったデートの帰り。 　こんなムシャクシャした気分の夜は、現実逃避にＤＶＤでも鑑賞しようと、レンタルの店に入った。 　 　今日はこれを観よう、一枚のディスクに手を伸ばした時、ほぼ同時にもうひとつ手が伸びてきた。 「あ、すみません」 　とっさに手を引っ込めようとしたが、相手の男は手を引っ込める気配はない。 「良かったら、一緒に観ませんか」 　そんなことを言って穏やかに微笑むのだ。 　 　捨てる神あれば、というやつなのか？ 　ドラマでよく見る運命の出会いってやつなんだろうか？ 　 　今ひとつロマンティックじゃないのは、二人が手にしたディスクが超ハードコアのアダルトゲイビデオだったから。