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第2話
ドアを開けるとむわっとした空気と、ひまわりのような笑顔が飛び込んできた。
「貴哉っ、会いたかった…!」
「うわっ、宗真ちょ、あぶなっ!!!!」
玄関先で飛びつかれてバランスを崩し、そのまま一段上に倒れこむ。咄嗟に目を瞑るが、予想していた衝撃はなかった。
恐る恐る目を開けると、そこは宗真の腕の中で。大事に抱きしめられているのに気付き、一気に顔が赤くなるのがわかる。
「ったく、少し落ち着けよ…」
「一年ぶりに会えたのにそれは無理」
「昨日電話しただろ」
「ナマ貴哉は別格!」
なんだそりゃ、アホかこいつ。
そんなアホなこいつ、宗真は、隣のじいちゃん達の孫。毎年おじさん達と一緒に、山形から夏休みの間だけ遊びに来る。と言っても、部活が休みの1週間程度だけど。
たったそれだけの短い自由な時間を、こうして毎年一緒に過ごせるのが単純に嬉しい。…まあ、調子に乗るから面と向かっては言ってやらないけどな。
今年はお互い高校三年生、受験生でもある。宗真はもう部活を引退してるから、もしかしたら今年はちょっとだけ長くいられる…の、か?
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