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あとがき
ようやく終わりまで辿り着きました。
たった10日間の話に137話……。おつきあいいただいた皆様、ありがとうございました。
序盤の数話は前作の「卒業」に入れようと思っていたエピソードですが、卒業式翌日以降は真っ白。とんだ見切り発車でスタートしました。
10話あたりで早々にストックは切れ、書いては公開するという、自転車操業。(そのため時に誤字脱字もあり、お見苦しい点も多々あったかと思います)。
自分がストーリーを考えるというよりも、毎回、和樹は今頃何してるかなあ、涼矢は何を考えてるかなあ、と想像しながら書いてきました。
自分で書いておきながら、思いもしない展開になることもあり、時々「キャラクターが勝手に動く」とおっしゃる作家さんや漫画家さんがいらっしゃるけれど、それはこういう感覚なのかな、と思ってみたり。
唯一決めていたこと。
それは「普通の話を書こう」でした。大きな事件も起きない、出生の秘密や、特殊な能力などは一切出てこない。そういう話。
最終話の公開日は、奇しくも和樹が東京に出発する3月28日で、リアルな日付と作中の日付がシンクロすることになりました。
これは最初から狙っていたわけではありません。当初の予定では2月中には終わらせるつもりでしたから。話数も半分ぐらいで収まるだろうと思っていました。
これを書いている今、和樹は東京は西荻窪のアパートで引っ越し作業中といったところでしょうか。本当にそんな気がしてしまって、なんだか不思議です。
あくまで「結果的にそうなっちゃった」のですが、BL小説と銘打っておきながら、やたらと家族が出てくる。女の子も出てくる。男女間の恋バナもちらほら出てくる。そんな内容になりました。中にはBLにそういう要素は入れてほしくない、読みたくないという方もいらっしゃったかもしれません。
でも、上述したとおり、私は「普通の話」が書きたかったのです。普通の18歳が生きて行く上で、家族や異性と関わらずにはいられないはずです。それを避けてしまうと、二人は成長する機会がない。彼らがこれから先生きて行く「社会」の中においても、二人で幸せになっていく術を身につけてほしい、そう思った結果が、こうなりました。
この「普通の話」が書きたいという気持ちは、二人の主人公、特に涼矢の人物像にも影響していると思います。実はキャラクター設定時には、彼をもっとスパダリ風にする予定でいました。なんでもできて、クールで大人びていながら、愛情深く、まだガキっぽい和樹をさりげなくフォローするような、そういう人。でも、書いている内に、そんな完璧超人を押しつけるのがかわいそうというか、彼もまた、できないこともあれば、失敗もする、普通の18歳にしてあげたくなりました。結果的につかみどころのない変人くんが出来上がってしまいましたが。
二人の関係は今後どうなるのか、更なる続編については、書くとも書かないとも、今は特に考えていません。
でも、次があるとしたら、大学、就職と進んで行き、いよいよ「社会」と正面から向き合う段階になることでしょう。
その時に、彼らが何を考え、どう結論を出し、成長していくのか、私自身も楽しみです。
それでは、ここまで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
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