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たとえ時代が違っても心は繋がってる

こっちに来てから1年が経った。 あっという間だった。 俺は毎日清さんとイチャイチャしまくっていた。一緒にご飯を作ったり一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たり。 幸せな日々を送っていた俺だが、今日は変な感じがする。とても外に出たくて体がふわっとする。前にも感じたことのある感覚。前の時は腹痛だったか。 きっと外に出たら平成に戻ってしまう。ある程度の時間が経ったら外に出なくても戻ってしまうだろう。その前に思いを伝えたい。 俺は清さんの元へ行く。 「清さん!」 「そんなに急いでどうしたの?」 「俺、きっと今日元の世界に戻ります。そんな気がするんです。なので話したくて。ふっ……最後は泣かないようにってずっと思ってたんですけど……やっぱり涙って勝手に出てきちゃうんですね」 俺の目からは1年前のあの日と同じくらい涙が出てくる。 「そっか。なら僕も全部伝えないとね」 「清さん、俺、清さんのことすごい好きです。未来になんて戻りたくないくらい。一生ここに残りたいくらい。きっと平成に……未来に戻ってもずっとずっと、ずぅっと清さんのこと好きだと思います」 平成に戻ったら清さんはどんなに探してもいない。けど心は繋がっている。絶対に会えなくてもずっと清さんのことを好きでいる自信がある。 「だから、清さんも俺のことずっと好きでいてくださいね」 「ふふっ……健斗くん、当たり前じゃないか。というかね、僕も同じこと言おうとしてた。たとえ時代が違っても心は繋がってる。記憶がある限り繋がり続ける。君と会話は出来なくても記憶の中の君と会話ができる」 ふぅ、と清さんが深呼吸をする。 「健斗くん、君がどんなに遠くにいても、2度と君と会えなくても、僕は君を一生愛し続けるよ」 止まりかけていた涙がまた溢れ出してくる。 「俺もです……一生清さんのこと忘れません。ずっと愛します。俺が死ぬまで転生なんてしたらだめですからね?天国で会いましょ」 「うん、そうしよう。もうそこでしか会えないと思う。神様に何を言われようと健斗くんが来るまで待ち続けるね」 清さんと離れたくない。ずっと一緒にいたい。 けれどこれは叶わぬ願い。 俺は平成に帰らないといけない。だから、せめて、今だけは触れさせて。 「清さん、キスしたいです」 そう言うと清さんは俺に近づいてきた。 そしてゆっくりと清さんの唇が俺の唇に触れた。 10秒くらい経ってからゆっくりと離れていった。 「俺、もう行かなきゃ」 「そうだね。玄関でいいのかい?」 「多分」 2人で玄関に向かう。 俺はぎゅっと清さんに抱きつく。 すると清さんも抱き締めてきた。 「何回も言いますけど俺、清さんのこと大好きです。ずっと清さんのこと愛し続けます」 「うん、僕も健斗くんが大好きだよ。健斗くんがいなくなっても愛し続ける。約束する」 「はい」 俺はそっと清さんから腕を外す。 すると清さんも離してくれた。 「何年後になるかわからないけどまた会おうね」 「はい、絶対会いに行きます。天国で待っていてくださいね」 「うん。待ってる。またね」 「はい、また」 玄関を開け、清さんに向き直り笑顔で手を振る。 片足を外に出す。 最後に見えた清さんは綺麗な笑顔で寂しそうに手を振っていた。 もう片方の足を出す。 すると自分の家、しかもトイレの前にいた。 帰ってきたのか……。 リビングに行って日付を確認する。1日も経っていない。 1日も経っていないのに1年を過ごしていた。 変だな、と笑う。 あぁ、清さんに会いたい。同じ世界にいるのなら会えるかもしれない。けど清さんはもうこの世にはいない。 だから、俺はこれから前を向いて今を生きる。そしてヨボヨボのおじいちゃんになって死んで、それから天国に行って清さんに会う。 道のりはすごく長いかもしれない。 でも、俺は寂しさを感じない。 だって、清さんがこう言ってたから。 “たとえ時代が違っても心は繋がってる”って。 ㅤㅤㅤ ㅤㅤたとえ時代が違っても*END

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