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第1章第92話
その日スマホを受け取れば
暁から連絡が来ると思っていたのに、
その日連絡が来る事はなく
連絡がつかなくなって数日が経った。
こちらから連絡しても繋がらず
メールしても返って来ない。
セックスしてから音沙汰無し……。
俺の中で嫌でも不安が込み上げてくる。
広瀬さんの衝撃過ぎる事実より
今の俺は暁の事で頭がいっぱい。
そんな日が一週間過ぎ
俺が指定した日が明日に控え
広瀬さんから電話が鳴った。
「あ、大和君?」
「広瀬さん……」
テンションはめちゃくちゃ
低い声で応答する。
「明日宣材写真の撮影大丈夫?」
「……大丈夫です。」
「じゃあ、明日朝9時に迎えに行くよ」
逢坂じゃないんだ。俺は少しホッとした。
でも────
「あの広瀬さん……暁どうしてますか?
全然連絡取れなくて…………」
嫌われたのか?それとも────
「あー暁なら今仕事が忙しくてね、
大和君に会いたがってるよ!」
「えっ………………」
「連絡したいみたいだけど
今本当に忙しくて……
なかなか寝る時間もなくて……
休憩中も寝ちゃって……ごめんね」
そんなに忙しいのか?
知らなかった……なのに俺……。
「暁大丈夫ですか?」
不安から一転心配に変わる。
「かなり疲れてるみたいだから
休ませたいんだけど……でも、
明日大和君の撮影には
顔出すって言ってるから」
俺の事なんていいのに……。
「とりあえず明日迎えに行くから」
「分かりました……待ってます」
そう言って電話を切った。
暁────身体大丈夫かな……。
その日は撮影もある所為か
俺はあまり寝付けず朝を迎えた。
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