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第1章第91話

広瀬さんが電話をするけど どうやら出ない様子。 「んー出ない、もしかして寝てるかも」 そう言ってスマホを置いた。 「あの住所教えてくれれば俺届けますよ」 だけど広瀬さんは少し困った顔をする。 あれ……教えてもらえないのだろうか……? 「ん?あー違う違う、住所は教えても 問題ないんだけど、暁のマンションは セキュリティしっかりしてて、 本人寝てると入れないんだよね」 「そうなんですか……」 「一応ねこの業界にいる以上 なんかあると困るし 事務所が借りてるからね」 そうだよな……テレビ見てても 芸能人とかマスコミ に追われてプライバシー なんてあるようでないもんな。 って俺もその世界に入るんだっけ。 「今日の所は俺が預かるよ、 でも住所は教えておく」 そう言って広瀬さんは 手帳のページを破り さっさと住所と部屋番号を 書いてくれた。 「あ、有難うございます」 「大丈夫、恋人なんだし」 そう言って肩を軽く叩かれた。 恋人……その響きが 少しだけ恥ずかしくて 俺は顔を赤らめた。 「でも大和君1つ約束して?」 笑っていた広瀬さんの顔が 急に真剣な顔に変わる。 「マスコミにだけは注意して? この間暁がどうしてもって言うから 女の子の姿許したけど 一回だけだって本人にも 約束させたんだ、 あの姿は皆知ってるしね、目立つから」 「…………すいません」 「いや、バレなかったみたいだし、 暁にはいつも窮屈な思いさせてるから、 デートは一応変装した男の子で…… まあ色々周りは 気になるかもしれないけど……」 広瀬さんが男と付き合ってると 分かったからなんか その言葉に重みがある。 「分かりました……そうします」 因みに俺もなるべく 変装するよう釘を刺された。 最後に俺の都合の良い日を逢坂に 伝えてもらうべく 俺は広瀬さんに伝言し その日は帰宅した。

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