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第1章第127話

俺は暁を抱きしめたまま 意を決して訊いてみる。 「なぁ暁広瀬さんにも 弱音吐かないんだって?」 暁は真面目で頑張り屋。 広瀬さん達より 付き合いは全然浅い。 でもストレスで 倒れるなんて俺だって嫌だ。 「…………大和?」 俺は身体を離して真面目に訊く。 「ストレス溜まってるなら 俺に言って?倒れる程溜め込まないでよ」 「……………………」 「広瀬さんも全然 言ってくれないって心配してたよ? 仕事大変なのは俺でも分かるよ…… 認識甘かったけど」 「やま………と」 俺はもう一度抱きしめ はっきり言ってやる。 「今暁がストレスになってるのは何? お願いだから話して」 俺の言葉に暁は 観念したのか静かに口を開く。 「あのね…………」 さっきの笑顔は何処へやら。 こんなに表情が暗くなるのは初めて見た。 「あの………どうしても 嫌なカメラマンがいて」 カメラマン? そこからセクハラ発言や 色眼鏡で見られる事、 腕は確かな為仕事は外せない事。 それでも広瀬さんの配慮で、 減っている事も暁は話してくれた。 でも────、 「嫌なの!どうしても………、 レンズ越しに舐めまわすよに見られてる、 頭の中で何を考えてるのか伝わってくる」 「あ……き?」 僅かに震える身体。 ボロボロ泣き出す暁。 そして────、 「大和以外は絶対嫌なの! 気持ち悪いの! 鳥肌立って吐き気するの、 あの視線も台詞も耐えられない、 僕は大和以外絶対嫌!」 俺は思わず抱きしめた。 暁は泣きながら俺に擦り寄る。 「大和以外っ……触れて欲しくない、 やらしい目で見て欲しくない! 僕は大和だけ、大和だけしかいらない」 まだ安静が必要なの分かってる。 だけど……こんな風に言われたら 止められないよ。 俺は泣きじゃくる暁に 有無言わさず唇を奪い ソファに組み敷いた。 こんな可愛い台詞訊いて 冷静でいられる程 俺は大人じゃないんだよ。

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