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第2章第2話
大和side
あれから慣れない仕事をしつつ
オーディションに必死。
とりあえずなんとかここまで
残っているが────。
今日は実際撮影をしての
オーディション。
俺がまだまだ出遅れている
試験みたいなものだ。
そして────、
逢坂に言われたのがあいつの存在。
遠目にいる奴に視線を向けると、
見た目チャラそうな茶髪&ピアスな
超イケメン。人気実力派モデル
神崎流風
俺よりも2つ上な20歳。
確かにチャラそうな外見だが
身長は俺とほぼ変わらないし、
経験も人気も奴のが上。
なにより逢坂の話だと
暁の大ファンで、このオーディション
には必死になっていると訊いた。
「はぁ………」
何を取っても今の俺じゃ適わない。
どうする俺……あんな奴に
大事な暁の隣を取られるのか?
「ボケ」
「って…………」
頭を容赦なく殴って来たのは
勿論逢坂で、俺はムッとする。
「どうせ適わないとか思ってんだろ」
図星だから言葉が出ない。
やっぱり司さんが言うだけある。
「あのな、初めからお前に有利な
モンはないんだよ!」
「……………………」
分かってる。でも────、
「だけど、負けない
もんならあんだろ」
「!?」
負けないもの?
「見た目は差はない、
お前に足りないもんは
経験と知識、でもお前が
競えるとしたら暁への気持ちと
恋人って名目な特権だけだ」
気持ち……ムカつく存在なのに
良く分かってる……悔しいくらい。
でも確かにそうなんだ。
俺はまだド素人。
それでも暁への気持ちだけは
負けない自信だけはある。
ならウジウジしてもしょうがない。
見た目に差がないなら
何が何でも掴んでやる。
逢坂に気合い入れてもらうのは
なんか面白くないが
初めて感謝した。
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