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第1章第19話
「AKIちゃん今日も宜しくね」
カメラマンが上機嫌にそう言って
「はーいお願いします」
AKIはニッコリ答えスタンバイ。
あれ?今日は……瞳が碧い?
確かにこの間は色素の
薄い茶色をしていた。
遠目ではっきりとは分からないが、
印象が違うのは多分目だ。
後で……訊いてみようか。
「じゃあ始めるよ」
カメラマンがレンズを覗き込むと
AKIは目を閉じて一呼吸。
そして目が開いた瞬間俺は息を飲んだ。
────何故なら、
いつもニコニコ微笑み
明るいAKIではなく艶っぽい女、
どう見ても女にしか見えないからだ。
目つきが違う?
表情も仕草も1つ1つが完璧な女性。
「どうだ?別人だろ?」
広瀬さんに言われ俺は生唾を飲む。
「あれがモデルのAKIだ」
カメラマンがシャッターを切る度
長い手脚を使いポージングして見せ
いつもの笑顔は一切ない。
どうして────?
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