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第1章第33話

大和side これからどうするのだろ? 店を出てスタジオに戻るかと 思ったら前を通り過ぎる。 暁の少し後ろを歩いて俺は立ち止まり 「あの……」 あれ?俺の声が小さかったのか 暁は気付かず前をスタスタ歩く。 「あ、暁?」 思い切って名を呼ぶと 「え?……あ、ごめん」 暁は俺の声にようやく反応し 後ろを振り向いて脚を止めた。 どうしたんだろ……。 さっきまでニコニコ笑っていたのに。 「どうしたの?大丈夫?」 「うん、ごめんね少し考え事してた」 考え事……?何?そう訊きたいけど まだそんなに話してる訳じゃない。 だからもっと話したいんだ。 「……あの、これから……」 大通り近くの通りは車が行き交い 人通りも多い。歩道のど真ん中で 2人して立ち止まっていたら 嘸かし邪魔だろとは頭の隅で思っては いてもこの楽しい時間を 終わらせたくない俺は拳を握り 「………これから時間あるかな?」 今の俺には精一杯の誘い文句。 本当はデートしよって言いたいのに どうしてもその言葉が言えない。 こんなんじゃ……駄目だ……。 自然と俯き自分の脚元を睨みつける。 女は平気で誘えるのに情けない。 だけど────、 「いいよ、行こう」 「へ?」 間抜けな声を出した俺に 暁は満面の笑みで答えると 俺の手を取り歩き出す。 また……俺の手……。 躊躇いがちの俺を他所に 暁はギュッと俺の手を 握りしめ歩みを早めた。

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