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新妻裸エプロン編 1

先輩の部屋に行くと、先輩は丁度今日再現する分をプリントアウトし終えたところだった。 確か今日の分から僕にマンガのことがバレた後に描き下ろした分だと言っていたから、もしかしたらさっきまで手直しでもしていたのかもしれない。 先輩がプリントアウトした本をホッチキスで中とじにしている間、なんとなく部屋を見回すと、ベッドの上に置かれたビニール袋に入ったメイド服が目に入った。 「う、今日はメイド服ですか」 「いや、それ全部は使わない。  今日はこれだから」 そう言って先輩が開いたページには、全裸にひらひらのエプロンだけを身につけた『祐人』が白濁にまみれた姿がフルカラーで描かれていて、あまりの衝撃に僕はぶはっと変な声を上げてしまった。 「なんだよ、お前が女装は嫌そうだったから、せっかくメイド服買ったのにエプロンだけ使うように変更してやったのに、文句でもあるのか」 せ、先輩、その心遣いは微妙すぎます……。 確かに僕が出来れば女装は勘弁して欲しいと思っていることは確かだが、その代わりが裸エプロンでは正直女装とあまり変わらない。 あ、いや、それも問題なのだが、僕が奇声を上げたのはそれが原因ではなく。 「すいません、文句はないんですけど、そのカラーイラストの破壊力が凄すぎて、つい」 「おお、そうだろう!  我ながら、改心の出来だと思うわ。  自分用だから扉絵まではいらないと思ってたけど、やっぱりあったほうがいいな。  ありがとうな、高橋。  お前がカラーの扉絵描けって言ってくれたおかげだ」 「は、はぁ……」 そう言われれば確かに、ノリでそんなことを言ってしまったことがあったような気がする。 しかし先輩の画力でカラーで描かれると確かにエロくて凄いのだが、顔が自分のものだとこっちに来るダメージもその分でかくて、完全に自分で墓穴を掘ってしまったとしか思えない。 「ああ、今日は先にマンガ読んでいいぞ」 「はい、ありがとうございます」 先輩が出来たばかりの本を渡してくれたので、僕はベッドに腰掛けてさっそく本を開いた。 扉絵が衝撃的すぎて目に入っていなかったが、今回のタイトルは『新妻裸エプロン編』だった。 おお、新妻! 裸エプロンの定番設定だが、これはラブラブな再現になりそうで嬉しい。 男なのに新妻ってなんだという話はあるが、たぶんそこは気にしたら負けだ。 読み始めてみると、ただラブラブな話と言うだけでなく、今までの本では曖昧だった僕の相手役の顔が、はっきりと先輩に似た顔で描かれていた。 この本は再現を始めてから描かれたものなので、きっと現実に近い形に変更したのだろうが、僕にとっては喜ばしい変更だ。 ちなみに、マンガの中の僕のナニのサイズも現実通りに少し小さめに変更してあって、そこは別に現実通りでなくてもいいのにと思ってしまう。 僕がマンガを読んでいる間、先輩は以前にも着てくれたスーツに着替えていた。 「先輩、ネクタイ結びますか?」 「おう、頼む」 頼まれたので遠慮なく、僕は先輩の後ろに回ってネクタイを結んだ。 2回目だけどやっぱり嬉しくてドキドキする短い時間を終え、すでにマンガを読み終えていた僕は、メイド服の袋に手を伸ばした。 先輩が買ったメイド服はクラシカルなタイプのもので、エプロンも肩や周囲にたっぷりとフリルがついていて、確かに裸エプロンにも向いていそうだった。 「あ、ちょっと待て。  せっかくだから、マンガ通りに外から入ってきて初めて裸エプロン見るようにしたいから、俺ちょっとキッチン行ってるわ。  お前が準備出来たら声かけてくれ。  そしたら外出るから」 「え、わざわざ外出るんですか?」 「おう、せっかくだからな」 「うーん、出るのはいいですけど、入ってくるとき外に人がいないの確認してからにして下さいね。  裸エプロン姿なんか人に見られたら、僕、いろんな意味で死ねますから」 「わかってるって。  じゃあ、出来たら声かけろよ」 そう言って先輩はキッチンの方に出て行ったので、僕は言われた通りに着替え始めた。 服を全部脱いでエプロンをつけるだけなので、準備自体は簡単だった。 着替え終えた僕は自分の姿を確認してみる。 前側はエプロンで全部隠れているので問題はないのだが、後ろを振り返ってみると完全に尻が丸出しでかなり恥ずかしい。 この姿を先輩に後ろから見られるのかと思うと、恥ずかしいのと興奮するので目眩がしそうだ。 「出来ました」 けれどもいつまでもこうしているわけにはいかないので、キッチンの先輩に声をかけるとドア越しに返事があった。 「よし、じゃ俺が外出てからこっち来いよ」 「はい」 そうして先輩が外に出てドアを閉めたのを確認してから、僕はキッチンに移動した。 そのまま外につながるドアの前で、なんとなくもじもじしつつ先輩を待つ。 しばらくすると、がちゃっとドアが開いた。 「ただいまー……わっ!」 驚いた演技をした先輩は光の速さでドアを閉めて鍵をかける。 「おかえりなさい……」 もじもじしたまま先輩を出迎えた僕の目の前で、先輩はマンガ通りにあんぐりと口を開けている。 「祐人、お前その格好……」 「あ、あのっ!  ……あなた、ご飯にする? お風呂にする? それとも……僕?」 定番のセリフを恥ずかしそうに言う僕を見て、先輩はほんの少しだけ意地悪そうな笑みを見せた。 「じゃあ、ご飯にしようかな」 「えっ……」 ここはセオリー通りなら当然裸エプロン姿の僕であるはずなのだが、あえて一回スルーするところがポイントだ。 恥ずかしい姿で旦那様を出迎えたのに無視されてしまった僕は、しょんぼりした演技をする。 「祐人?」 「あっ……はい。  じゃあ、ご飯よそうね……」 そう言って僕は先輩からカバンと上着を受け取った。 それを奥の部屋に置きに行きつつ、先輩の目にその後ろ姿がどういうふうに映っているかを意識してしまって、ちょっと股間が反応しそうになる。 奥の部屋から戻ってきた僕は、空の炊飯器を開け、ご飯をよそうまねをした。 先輩はキッチンに置いてある折りたたみ椅子に座って、ネクタイをゆるめつつこっちを見ている。

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