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メイド×坊ちゃま☆
「それじゃあ、今日はこれな」
風呂から出てきた高橋に、用意してあったコピー誌とメイド服を手渡すと、高橋は露骨に嫌そうな顔になった。
「えー……」
「何だよ、せっかく新作描いたのに、読みたくないのか」
「う、それは確かに読みたいんですけど、でもメイド服はちょっと……」
恋人同士になる前から俺の描いた同人誌の再現にいつもノリノリで付き合ってくれた高橋だが、女装にだけは少し抵抗があるらしく、こんなふうに渋ることが多い。
それでも着替えてプレイに入ってしまえば、結局は他の時と同じように再現にのめり込むのだから、最初から素直に着てくれればいいのにと思う。
「メイド服、高橋に似合うと思うけどなー。
きっと可愛いだろうな-」
「そ、そうですかね……」
おだててやると、高橋はちょっとその気になってきたらしい。
もう一押ししたら着てくれそうな気配だ。
「高橋のメイド姿、見てみたいなー。
それにせっかく買ったメイド服も使わないともったいないし」
俺がそう言った途端、高橋がぷっと頬を膨らました。
あ、しまった。
余計なこと言った。
そう気付いたが、もう遅い。
「そんなにもったいないんだったら、先輩が自分で着たらいいじゃないですか!」
そう言うと高橋は、むくれたままでメイド服を突き返してきた。
「……ああ、いいよ。
じゃあ、今日のところは俺が着るわ」
「……え?」
俺があまりにもあっさりメイド服を着ることを了承したので、高橋はあっけにとられている。
その可愛い間抜け面を見ながら、俺は頭の中で自分がメイド服を着た場合のプレイ手順を超高速で組み立てていた。
覚悟しとけよ、高橋。
オタクの妄想力なめんな。
今日のプレイ内容を決めた俺は、再現用のコスチュームがしまってあるクローゼットの衣装ケースから必要な服を取り出す。
「じゃ、高橋はこれな」
出した服を渡してやると、高橋はそれを広げてみて微妙な表情になった。
「半ズボン……」
俺が高橋に渡したのは、いつかショタプレイをしようと思って用意してあった、男の子が七五三の時に着るような紺色の半ズボンとサスペンダー、それに高橋の高校の制服の白カッターシャツと白いハイソックスだった。
「嫌ならメイド服にするか?」
「い、いえ! こっちでいいです!」
女装よりは半ズボンの方がましだと思ったのだろう。
高橋は俺の気が変わらないうちに、とでもいうように、さっさと着替えだした。
そうと決まればと俺の方も着ているものを脱いで、メイド服を手に取る。
俺の方は高橋のように女装することに恥じらいも抵抗もないので、そのクラシカルなワンピースをさっさと身につける。
あ、袖がビリッっていった。
もともとレディースサイズのコスチュームなので、高橋なら問題なく着られても、俺が着るにはかなりキツい。
それでもゆったりしたデザインだったので、後ろのファスナーはほぼ全開状態ではあるが、どうにか着ることが出来た。
その上から白いエプロンをつけ、ウイッグと白いレースの頭飾りをつける。
自分の準備を終えて高橋の方を見ると、高橋は半ズボンの裾からはみ出してしまったトランクスを、必死にズボンの中に押し込んでいるところだった。
やばい、かわいい。今すぐ押し倒したい。
ドジっ子的なしぐさのかわいさと、体毛の薄い白い足があらわになっているのを見ると、もうさっき考えた手順なんかどうでもよくなって問答無用で押し倒したくなる。
それでもやっぱり、せっかく考えた妄想ネタを無駄にするのは惜しいというオタク根性もあって、俺は欲望をぐっとこらえて高橋が準備を終えるのを待った。
やがて準備を終えて顔を上げた高橋が、俺の姿を見た途端、微妙な顔になって硬直した。
「どうだ? かわいいだろ?」
「い、いえ、あの、その……」
おどけてスカートを少し持ち上げるポーズをとってやったが、高橋は固まったままだ。
まあ、無理もない。
高橋みたいなかわいいやつならメイド服も似合うだろうが、俺みたいなごつい男が着ても不気味なだけだろう。
「だからお前が着ろって言ったのに。
これにこりたら、今度からはおとなしく女装しろよ」
「はい……」
あんなに女装を嫌がっていたのに、高橋はすっかりおとなしくなってしまった。
そんなにひどいのかと自分の姿を見てみたくなるが、なんだか萎えそうだからやめておいた方がよさそうだ。
……っていうか、高橋の方は萎えてないだろうな?
「そんなにひどいなら、脱いだ方がいいか?」
俺がそう言うと、高橋はちょっとだけ考えるそぶりを見せてから口を開いた。
「あの、先輩はもう、メイド服着た状態でのストーリーを考えているんですよね?」
「ん? ああ」
「……じゃあ、このままでいいです。
先輩がどんなストーリー考えたのか気になるし、それに、先輩の考えたエロいこと再現するの、その、いつもすごく興奮するから、早くやってみたい……」
恥ずかしそうにもじもじしながらも、自分の欲望を素直に口にする高橋は凶悪なまでにかわいい。
これは是非とも期待に応えなければと、俺は俄然やる気になってくる。
「よし、じゃあこのままやるか。
まあ、再現に夢中になってたら、そのうち気にならなくなるだろ」
「そうですね。
えっと、僕はどうしたらいいですか?」
「ああ、とりあえずそのまま立っててくれ。
設定は坊ちゃんとメイド……メイド頭ってことで」
「わかりました」
高橋とは何度も再現を繰り返しているので、特に詳しい説明をしなくても、俺の言動に合わせてくれるのでありがたい。
「よし、始めるぞ」
「はい!」
高橋の元気な返事と同時に、俺はメイド頭になったつもりで、怒っている表情を作った。
「坊ちゃま、今朝もおねしょをしたそうですね?」
「えっ……」
いきなりのおねしょ設定に思わず絶句してしまった高橋の驚きの表情を、俺はそのままプレイに取り込む。
「メイドには口止めしておいたのに、どうしてわかったのかと驚いていらっしゃるのですか?
隠しても無駄ですよ。
私(わたくし)は坊ちゃまのことなら何でもお見通しですからね」
「あっ……う、ご、ごめんなさい……」
さすがは高橋、一瞬は驚いても、すぐに俺のセリフに合わせて謝ってきた。
「口先だけで謝っても駄目です。
だいたい、いつも寝る前にお手洗いに行きなさいと申し上げているでしょう?
夕べはちゃんとお手洗いに行ったんですか?」
「い、行ってない……」
「駄目じゃないですか。
どうして行かなかったんですか?」
「え、えっと、だって、夜お手洗い行くの怖くて……」
高橋が考えつつ出した答えは非常にショタらしくて、それは俺が考えていたストーリーにぴったりだった。
思い通りの展開に内心でほくそ笑みながら、俺はメイド頭になりきって、ため息をついた。
「全く、仕方がありませんね。
今夜もまたおねしょをされては困りますから、お手洗いに行くのが怖いのなら、今ここでおしっこを済ませてください」
「え……、こ、ここで?」
高橋がぽかんとした顔になって、それから徐々に青くなる。
どうやら高橋は完全に勘違いしているらしい。
まあ、俺が勘違いさせるような言い方をしているのだから、それも当然なのだが。
「ここで出来るでしょう?
それとも私の前では出来ませんか?
白いおしっこは」
「あっ……」
俺が最後の一言を言うと、高橋は明らかにほっとした表情になった。
やはり高橋は、もしかしたらスカトロプレイをやらされるのではないかとおびえていたらしい。
いや、さすがの俺もそこまで変態じゃないし。
自分の性癖がかなり変態的だという自覚はあるが、さすがにそこまでアブノーマルな道に足を踏み入れる気はない。
それに、俺がお前が本気で嫌がるようなことをやるはずないだろ。
本音を言ってしまえば、高橋の排尿プレイに全く全然興味がないというわけではないのだが、嫌がる高橋に無理矢理やらせてまで自分の好奇心を満たしたいとは思わない。
さっき、ここでおしっこをと言われて真っ青になっておびえていた高橋は確かにかわいかったが、それよりもその後、スカトロプレイではないとわかってほっとしていた高橋の方が何倍もかわいかったと思う。
結局俺は、普段さんざん高橋に変態プレイを要求してはいるが、それでも自分の欲求よりは高橋の意思の方を尊重する程度には、高橋のことを愛しているのだ。
「それとも、一人ではおしっこ出来ませんか?
お手伝いが必要ですか?」
俺がそう言うと、高橋もようやく今日のプレイの概要が見えてきたらしい。
「うん……手伝って……」
ショタらしく恥ずかしそうにもじもじしながらそう言ったが、その表情は隠しきれない期待であふれていた。
「まったく、坊ちゃまは甘えん坊ですね。
分かりました。
手伝ってさしあげますから、そこに腰掛けていただけますか?」
俺がベッドを指さすと、高橋はうなずいてベッドに座った。
メイド姿の俺がその足元にひざまずくと、半ズボンに包まれた高橋の股間は、すでに期待でふくらんでいた。
「まあ、ずいぶんおしっこを我慢していらしたんですね。
すぐに出して差し上げますからね」
そう言うと俺は、恥ずかしそうにしている高橋のズボンのファスナーを下ろし、トランクスの中から半勃ちになっている高橋のモノを取り出して、口に含んだ。
高橋自身は、そのサイズが標準よりも小さめなのを気にしているようだが、俺は高橋のコレが好きだ。
高橋のモノは手や口で可愛がるのにちょうどいいサイズだし、俺の愛撫に応えて素直に立ち上がったり雫をこぼしたりする様子を見ていると愛おしくてたまらない。
今日も高橋のモノは、俺の口の中であっという間に固くなった。
本当ならここだけでなく、高橋が大好きな乳首も一緒に可愛がってやりたいところだが、設定的に今乳首をいじるのはおかしいので、それは後の楽しみに取っておくとして、とりあえずはむき出しになっている太もものすべすべした感触を楽しむくらいで我慢しておく。
高橋の息が荒くなり、喘ぎ声も激しくなってきた頃を見計らって、俺はいったん高橋のモノを口から出して、上目づかいで高橋を見た。
「祐人様」
名前を呼んでやると、高橋はぱっと赤くなって嬉しそうな顔になった。
そう、これこれ。この顔。
普段は名字で呼んでいるだけに、プレイや普通のセックスの最中に下の名前で呼んでやると、高橋はこうしてすごく嬉しそうな顔をする。
恋人同士になってからも俺が以前と同じように高橋のことを名字で呼んでいるのは、照れや、サークルの仲間の前でうっかり名前で呼ばないようにという理由もあるが、やはりたまにしか呼ばないことで、呼んだ時は必ずこの嬉しそうな顔が見られるからということが大きい。
「おしっこが出そうになったら、ちゃんとおっしゃってくださいね」
「あ、……うん」
喜んだのもつかのま、恥ずかしいことを要求された高橋は真っ赤になりつつもうなずく。
こういう素直なところも、本当にかわいいと思う。
再びくわえ直した高橋のモノは、先っぽから汁がにじみ出ていて、もうそろそろイキそうな感じだ。
俺はこのまま焦らさずにイカせてしまうことに決めて、高橋を一気に追い上げる。
「…あっ、だめっ、出ちゃう……、お、おしっこ、出ちゃうー……」
「出していいですよ。
全部飲んで差し上げますから」
高橋のモノを咥えたままでそううながすと、高橋は耐えきれずにびくびくと体を震わせてイッてしまった。
疑似おしっこプレイに興奮したのか、その放埒はいつもよりも少し長かった。
約束通りに高橋が出したものを全部飲み込んだ俺は、立ち上がって、褒めるように高橋の頭をなでた。
「白いおしっこ、上手にできましたね。
上手に出来たご褒美に、私の白いおしっこを差し上げましょうね」
そう言うが早いか、俺はメイド服を素早く脱ぎ捨てた。
そうして自分の姿で高橋を萎えさせる心配がなくなった俺は、祐人坊ちゃまのことを思う存分可愛がり(もちろん、高橋の方の服は全部脱がせず、はだけた状態のままでだ)、高橋の中にご褒美の白いおしっこをたっぷりと注いだのであった。
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ことが終わって一息つくと、高橋が本来再現するはずだったコピー誌を見たいと言い出したので渡してやった。
「そう言えば、先輩のメイドってどういう設定だったんですか?
男の使用人が女装してる感じ? それとも前みたいなふたなりですか?」
「あー、特に考えてなかったな」
「ええ? 結構いいかげんですね。
このマンガの方はちゃんと設定あるのに」
俺が描いたマンガでは、男の使用人である高橋がミスをして、ご主人様である俺におしおきとしてメイドの格好をさせられるという設定になっていた。
「そりゃ、高橋が女装する設定だったらいくらでも沸いてくるけど、自分の女装の設定なんか適当だって。
ま、キャラへの愛……っていうか、中の人への愛の差ってとこかな」
さらっと高橋への愛を告げると、高橋の方はそんな言い方でもちゃんと受け止めてくれたようで、ちょっと赤くなって嬉しそうな顔をした。
「じゃあ、今度は僕が先輩のコスプレの設定を考えますね。
先輩への愛だったら、その、僕も、たっぷりありますから」
照れながらそう言った高橋がかわいくて、俺は思わず高橋の頭をぐりぐりなでた。
「おう、楽しみに待ってるからな。
あ、けど、女装設定はやめておいてくれよ?
まあ、高橋がどうしてもっていうのならやってもいいけど」
俺が冗談めかしてそう言うと、高橋は慌てたように全力でぶんぶん首を振った。
「いえ! 大丈夫です! 女装じゃない設定にしますから!」
「そうか? それなら、まあいいけど」
高橋の言葉にうなずきながらも、俺の女装はそんなに酷かったのか?と逆に気になってきてしまう。
気になるから、もしまた機会があったら、女装してみようかな。
どうせなら、高橋とおそろいのものを着て、レズプレイとかもいいな。
そんな不穏なことを考えていることは高橋に悟られないようにして、俺は一所懸命俺にふさわしい設定を考えている高橋をぎゅっと抱きしめた。
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