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第4話

海影が雪路の金剛になると言い出したとき 楼主は反対した だってまだ客を取れると言うのに ここで辞められては困ると……… けれど海影はどうせ陰間としての寿命は少ないのだからと楼主を説得してしまった この時雪路は十二歳で海影は二十歳だった それからずっと海影は雪路の傍にいた 初めて客を取ったときも、客に酷くされ辛いと泣いた時も彼が支えてくれた けれど結局はそれまで……… あくまでも二人は陰間と金剛で 海影も雪路のことは弟のようにしか思ってないし 好意を抱かれている事にも気付いてない そして翌日の朝、この日は良く晴れている 食事を済ませると海影と共に買い物に出掛ける 「今日は日差しが強いですね 眩しい………」 「ですからちゃんと傘の下に入ってください 特にお前は陽に弱いのですから いつも興味のあるものを見つけると走り出して こちらは大変なのですよ」 「分かってます」 この時代白子と呼ばれていた先天性白皮症の雪路は 陽に当たっていると肌が赤くなってしまったり 酷いと水膨れが出来てしまうので 頭には編笠、海影の手には日傘があり雪路が陽に焼けないように差している それに弱視である為海影が常に周囲に気を配っている そして二人がまず向かったのは仕立て屋 様々な着物が展示されており雪路は楽しそうに 眺めているとこの店の主人が奥の部屋から出てきた

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