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道は閉ざされた 3

 いつもそうだった。抗えないものに呑み込まれていってしまう。  過去のお前も苦しんだのか。俺が目を背けてお前の苦しい過去をしっかり見ようとしなかった罰があたったのか、今こんな目に遭っているのは。お前も誰かに理不尽に抱かれてしまったのか。  どうか許してくれ。  お前の探していた奴に出逢えて初めてを捧げられれば、それですべて解決すると思っていた。  目を背ける訳にはいかないのか。  俺が受け止めるべき運命にはこのことも含まれていたのか。 **** 「洋……あぁ……すごく可愛いよ」 「やっ!」  父が俺のものを扱き始める。父に触られても気持ち悪いだけで何の反応もみせず恐怖で小さくなっていくばかりだ。 「丈といったか……あの男の名は」  だが丈の名前が出た途端、躰が反応してしまう。 「あいつに何度抱かれた?何故そんなことになったのだ?あいつが誘ったのか」 「ち……違う!丈は悪くないっ!俺が俺から誘ったんだ」 「洋……お前にまさかそんなこと出来るとはな。散々男に襲われそうになっていたことぐらい知っていたよ。初めての躰じゃないのなら、、もう大人しく力を抜きなさい」  父が俺のものをしごいているそんな光景に身も心も冷え切って、俺の躰は何の反応もみせない。 「しょうがないな。優しくしてあげようと思ったが、洋、耐えなさい」  父は滑りをよくするために、俺の孔にクリームのようなものをたっぷり塗ったあと、熱く腫れきったものを直接当ててきた。その熱に思いっきり嫌悪感が再び駆け巡り、躰が本気で拒否反応をし出した。 「やっやだ──!」  逃げ出したくて腰がひけていく。全身の力を持って抵抗する。だがその腰を無理矢理抱き留められ、太腿を両手でぐっと掴まれ、大きく開脚させられてしまう。  恐怖で躰に力が思うように入らない。  こんな簡単に奪われるなんて!  無理やり……あられもない姿にさせられ、屈辱と羞恥心で涙が滲み出る。 「やっいたっ!痛い!やめて!」  ぐぐっと力任せに一気にそれを押し進めてきた。メリメリと音を立てこじ開けられていく躰の内部。  義理であっても俺にとっては長年……父として接してきた相手に、今無理矢理に躰の内部をこじ開けられ、犯されていく。  この瞬間になんとかギリギリの境界線で保っていた、父と息子の関係を完全に失った。  俺は男なのに……息子のはずなのに……何故こんなことになってしまったのか。 「うっ痛っ──」  丈っ!丈っ!  心の中で何度も繰り返し君を呼ぶ!  丈に抱かれただけの、丈だけのものだった俺の躰が、今無残に散っていってしまう。  丈すまない。俺は弱かった。  こうなると分かっていたのに、父を跳ね除ける勇気がなかった。  運命の糸は無残にも、ここで切り落とされてしまった。

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