302 / 1585

贈り物 7

【R18】  安志さんが取り出したのはおそらく潤滑剤だろう。僕もこっそり調べたことを思い出し真っ赤になってしまった。安志さんは無言でそれを指に掬い取り、窄まりの付近に丁寧に塗った。 「涼、痛かったらすぐにやめるから、ちゃんと言ってくれ」  ここまで来て、途中でやめられるはずもないだろうに。本当に安志さんは律儀な人だとぼんやりした頭で思っていると、指をくっと入れられて躰が跳びはねた。 「うっ……」  初めて異物を受け入れたことに違和感を感じて、少し顔をしかめてしまった。 「ごめんっ痛いか」 「わっ分からないよ」  安志さんも同性を抱くのは初めてだから、お互いよくわからない。それが本音だ。痛いような……でも疼くような…ひどく不安定な気持ちだ。でも……もうどうにも止まらない。  安志さんの滑りをつけた指先が探る様に、そっと窄まりの奥へと入って来る。濡れた指先がくちゅくちゅと厭らしい音を立てながら、僕の中で円を描きだす。 「涼、もう少し足開けるか」 「うっうん……」  むき出しの太腿を優しく誘導するように大きな手で撫でられる。少しだけ脚をおそるおそる開くと、安志さんの手によって更に大きく左右に割られてしまった。  恥ずかしさが増してくる。物心ついてから誰にもこんな部分を見せたことなんてない。少し腰を持ち上げられると更に指先が奥まで侵入してくる。咄嗟に羞恥で染まる顔を両手で隠してしまった。 「あっ恥ずかしい。いや……」 「大丈夫……可愛い顔を見せて」  顔の前で交差していた手を離され、片手でシーツに縫い止められてしまった。その一方で僕の中に入り込んでいた指先が、躰の奥でくねくねと動いている。  こ……怖い。でも時々、妙に疼く部分をかすめるので変に甘ったるい吐息が出てしまう。 「あっ……んっ……んっ」 「ここか」 「っつ……あっ」 「ここ? 」  確かめるように指先が強く一定の場所を押してくる。何度も何度もその部分を刺激されると、萎えていたものが再び頭をもたげはじめてしまう。 「嫌っそこ、もう触れないで! 」 「ここなんだ。涼の気持ちいい所……良かった。見つけられて」 「あっ……くっ」  恥ずかしい。でも気持ちがいい。  もう快楽の方が勝って来ているようで、感じる場所を指先で押されるたびに、自分のものとは思えない甘い声がひっきりなしに上がってしまう。  すると安志さんが嬉しそうな顔をして、甘いキスをまたしてくれる。 「どうしよう……涼が凄く可愛い。声沢山出してくれて嬉しい。俺……もうとまらないよ、本当にいいのか? このまま最後までしても? 」 「……うん、安志さんが欲しい」 「またっ涼は煽るな」 「だって……」  安志さんは困ったように笑っていた。だってどう答えていいのか分からないよ。  気持ち良すぎて……こんな快感味わったことがない。  安志さんという人柄。その精悍な容姿。すべてが好き過ぎて安心できるんだ。だからこの先の行為、初めてで怖いけれども……怖くない。  もっともっと欲しくなってしまう。これが今の僕の自然の欲求だ。 「ありがとう、涼……ふぅ……」  安志さんは幸せそうな溜息を漏らしながら、僕の躰を更にきゅっと強く抱きしめた。安志さんの躰とこすり合わせられる性器が、安志さんが上下に動くたびに、熱をもって固くなっていくのが分かる。  さっき出したばかりなのに……もうこんなになっていることに驚いた。  刺激を受けて尖ったまま疼いている乳首を、安志さんの濡れた舌先で再び転がされて、ちゅっと吸われると腰がぶるっと震えた。気が付くと指は一本から二本へと増えていた。  たまらないほどの刺激は僕を捕まえて離さない。気持ち良すぎる。こんな快感……僕は知らない。 「涼、ここ……すごくなってるな」  三本目の指が入って来た時にはもうぐちゅぐちゅになっていて、異物を呑みこむ違和感も感じなかった。あまりに気持ち良く、自然に涙が溢れて来た。その涙の意味を安志さんは知っている。 「俺なんかで……こんなに気持ちよくなってくれてありがとう」  目尻に溜まった水滴を優しく吸い上げてくれる。 「もう大丈夫か」 「うん……たぶん……」  僕も素直に答える。  いよいよ安志さんと一つになるんだ。  そう思うとまた目尻から一筋の涙が零れた。気持ち良くて嬉しすぎて……涙が出るということを僕は今まで知らなかった。

ともだちにシェアしよう!