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新しい一歩 3

【R18】  きめ細やかなクリーミーな泡で躰を丁寧に洗われた。途中から丈はスポンジを床に落として、その長い指で直に触れてきた。外科医でもある丈の指先が器用に俺の躰を滑っていく。そして後ろの窄まりに触れると、そのまま指はずずっと中に入って来た。 「んっ」  一瞬躰が強張ってしまうが、お構いなしにどんどん奥へ指は侵入してくる。そして器用に中を伺って、一番感じる部分を押したりこすったりされるので、もう立っていられない程乱れ、朦朧とした気分になってきてしまう。 「ああ……あっ……」 「いいか? ここ」 「ん……」  顔がどんどん赤く火照ってていくのを感じながら丈を見上げるように見つめると、丈の方も堪らないといった表情を浮かべて、口づけをしてくる。それから俺の尖って突き出した胸の小さな粒を、飴玉をしゃぶるように舌で転がしたり甘噛みしてくる。 「丈っ……もういやだ……そこは」 「ここが好きだろう」 「んっ」  堪え切れない欲情が湧き出てくる。俺もそっと丈の逞しい胸板に手のひらを這わせて触れてみる。この躰に何度抱かれ貫かれても飽きることがないから不思議だ。丈の方も興奮してきたようで、俺に触れる指先が更に熱を持ってきた。 「洋……もういいか」 「あっ」  もう一度熱い口づけをされると同時に、片脚を持ち上げられ、立位ですぐに繋がった。充分にほぐされ濡れたそこはいとも簡単に丈のものを飲み込んでしまった。 「んっ……ん」  背中にあたるバスルームのタイルが冷たく硬かったかったが、すぐに腰を丈にぐいっと強引に抱かれ、躰を密着させてもらうと人肌が温かく感じた。 「あっ……あっ…いい……すごく」 「くっ」  丈の律動が激しくなり、声がどんどん上がってしまう。バスルームの中で俺の声が甘ったるく響いて、ひどく気恥ずかしい気分になってしまう。 「洋、声少し押さえろ」 「でも……あっもうイクっ……駄目だ……ん…んっ」  躰がぶるっと震え、間もなく躰の奥深いところに熱い液体が広がっていくのを感じた。同時に俺のものも達したようだ。 「んっ……あっあぁ、まだ動くな」 「洋、すごい締め付けてくる」 「言うなよ。もう、おかしくなる」  丈の太いものが抜き差しされる度に、白いものが内股を伝い降りて来る。その感覚に震え崩れそうになっていく躰を、丈が逞しい腕でもう一度ぎゅっと抱きしめてくれる。 「洋……大丈夫か。ありがとう。今年は一緒にクリスマス過ごせたな」 「俺こそ……ありがとう、いつも一緒にいてくれて」 **** 「優也さん? ね、教えてくれよ。優也さんは恋愛対象を同性とって考えられない? 」 「えっ……」  優也さんはいよいよ顔を真っ赤にして、俺のことを食い入るように信じられないといった表情で見つめてくる。これはもしかして脈があるかも。そう確信したので、もう一歩進んでみる。我ながら急に大胆なことをと思ったが、クリスマスの星空の下、肩を寄せ合うという絶好のシチュエーションに後押しされ、勇気を出していく。 「はっきり言うと、俺はここ最近優也さんのことが気になってしょうがない。もっと知りたいと思っている。それは恋愛対象としてなんだ」 「あっ……Kaiくんだって……僕は…」  そこまではっきり告げると、やっと口を開いてくれた。 「駄目? 男相手は考えられない? 」 「いや……そういうわけでなく……僕はKaiくんにふさわしくない。僕のことを知ったら軽蔑するよ。きっと……」  ふるふると頭を弱く振って否定していく姿が痛々しい。今にも消え入りそうに沈んでいく優也さんを励ますように肩を抱く手に力を入れた。 「優也さん行かないで。日本で何があったのか何も知らないが、俺は今ここにいる優也さんが丸ごと好きなんだ」 「うっ……Kaiくんの気持ち嬉しい。でも僕は……もう二度と恋はしないと決めて……」 「もうっそれ以上言うな! 」 「だって僕は……」  そんな後ろ向きなことを言う優也さんの言葉を思わずとめてしまった。それに優也さんは信じられないことだが、同性相手を受け入れる余地がありそうだ。 「嘘だっ、そんなの言い訳だ。こんなに泣いてこんなに寂しそうにしているのに……俺に守らせてくれないか、優也さんのその傷ついた心」 「駄目……駄目だよ。僕と一緒にいたらKaiくんまで不幸になる。寂しい人間なんだ……僕は」  そう告げる優也さんの瞳は、切なげに揺らいでいた。  このまま深い海に沈んでいきそうなほど儚げな人だ。俺の手で掴んで明るい場所へと救い出してあげたい。そんな使命にも似たような感情が渦巻いていく。とにかくこの人をもう一人にさせたくない。 「優也さん……人は誰だって、結局はひとりで哀しい夜を過ごしてるものなんだよ。そんな寂しい人も誰かと一緒にいれば希望も生まれるし、温かい気持ちを分け合えるんだよ。俺もひとりだ。こう見えても結構寂しがり屋だ。だから俺は優也さんと一緒にいたらお互い温められると思ったんだよ」 「一緒に温め合う? お互いに?」  そこまで一気に言い切ると、不思議そうな顔を優也さんは浮かべていた。 「そうだよ。どちらかが思い続けたりするんじゃなくて、お互いが思い合って、歩み寄るような関係になりたいんだ。俺は優也さんと……」 「そんな関係があるのか……Kaiくん…僕…知らなかった。そんな考え持ったこともなかった」  そう呟く優也さんの唇は今すぐ食べてしまいたくなるほど甘く可憐に見えた。今俺たちは星空の下で、お互いの息がかかるほど近く躰を寄せ合っている。いきなり過ぎるかとも思ったが、俺の膨れる想いがとうとう溢れ出してしまったようで、もうとまらない。  思い切って提案してみよう。どうか受け入れて欲しい。 「なぁキスしちゃ駄目? 」 「えっ! 」 「キスから感じ取って欲しい、俺のこの気持ち。だから……お願いだ」 「……」  優也さんは暫くじっと俺の顔を見つめていた。  瞬きもせずに…  そしてそれから、小さな葛藤を乗り越えたかのようにコクンと優しく頷き……ゆっくりと目を伏せてくれた。

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