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完結後の甘い物語 『雨の悪戯 4』
【R18】
離れのリフォーム工事が始まってから、あっという間に一か月が過ぎ、もう8月になっていた。俺の躰も湿気の多いカビ臭い部屋に、だいぶ躰が慣れてきたようだった。
あの七夕の結婚式から俺達の生活もだいぶ落ち着いた。平日の夜はこうやって互いに好きな本を読んだり持ち帰った仕事をしたりと、それぞれの時間を有意義に過ごす余裕も出来ていた。
今宵は丈が風呂に入っているうちに、俺は翻訳の残りの仕事を終わらせようと必死になっていた。
ふぅ……あと少しで終わる。でもやっぱり手元が暗いな。細かい活字を追うので、古い住居の電灯では影が濃く手元が心もとない。リフォームが完成したら俺専用のデスクが設置されるそうだ。手元の灯りにはこだわった。そして手が届く場所に辞書などを置くための本棚も造作してもらえるそうで、今から完成が楽しみで仕方がない。
「洋、まだやっていたのか」
「あ……うん、もう少しで終わるよ」
「順調だな。これなら予定通り、来週には旅行に行けるな」
「うん、この仕事は明日で終わるし、次の仕事は締め切りにかかっていないので大丈夫だ」
実は結婚式の後、すぐに丈が宮崎のリゾートホテルへの旅行を予約してきてくれたのだが、急に入った俺の翻訳の仕事と丈の病院勤務のローテーションの関係で出発が伸びてしまった。それでも真夏に、この暑くて古い部屋から旅立てるのは有難い。
俺が机に向かって仕事をしているのを、丈の熱い視線を感じた。
そろそろ終わらせないと、丈が待ちくたびれそうだな。そう思って振り向くと、ちょうど丈が欠伸をして、布団に寝転んだところだった。
「洋、そろそろ寝ないか」
「ん、そうしよう」
ちょうどキリが良いところだ。俺も読書灯を消して、丈の横に敷いた布団に潜りこんだ。
最近は丈も俺を抱くことをセーブしてくれている。というのも……この離れは風呂場まで妙に距離があるからだ。もちろんこの離れでも何度か試みたが、馬鹿みたいにドロドロの汗まみれになった姿でふたりで渡り廊下を歩くのは、人目を気にして散々だったからな。
「洋、早くリフォームが終わるといいな」
「ん、そうだよね。この部屋は相変わらず蒸し暑いしな」
「全く何でどの部屋も空いていなかったのか。やっぱり流兄さんのいやがらせか」
「ははは、そんなことないよ。実際、宿坊の方は、夏休みだからひっきりなしに予約が入っているので忙しそうだし、ここで十分さ」
「だが洋にあせもが出来たら困るだろう」
真顔で丈が言うので、つい笑ってしまった。
「あせもって、子供じゃあるまいし、さぁもう寝よう」
「いややっぱり駄目だ。まだ寝させない」
「えっ……だって明日も仕事だろ」
「ここ一週間も触れていないから、そろそろ限界だ」
手を掴まれ呼ばれてしまうと、俺は断れない。本当に俺は丈の言うがままだ。自分でもおかしいと思うけど、それが心地良いんだからしょうがない。
「ん……分かった。じゃあ一度だけだぞ」
俺は自分の布団を抜け出して、丈の元へ移動した。
「洋、ここに乗って」
丈の手によって膝を開かれ、丈の上半身を跨ぐように言われる。
「え……そこに? 」
「今日は洋をじっくり見たい」
うぅ……本当はこの姿勢は苦手だ。
掴まる所がなくて心もとないし、深く感じてしまうから。
「ん……全くしょうがないな」
そっと浴衣の袂を割って丈の逞しい躰を跨ぐと、すぐに丈の手によって腰を支えられた。そして浴衣の袷から手を差し入れられる。
「あっ浴衣はすぐに……はだけてしまうな」
「ふっだから洋には、これを着せている」
「もう本当に……丈は相変わらずいやらしいよな。外と中とじゃ大違いだ」
「いやか」
「嫌じゃないが……」
たわいもない会話をしながら、俺達はいつものように躰を繋げる準備をしていく。丈が俺の胸をまさぐりながら、指先は尻を撫でてくる。
「ほんといやらしい……手つきだ」
「はは。腕はいいと病院では褒められるが」
「ははっ物は言いようだな、それ」
「洋だけだよ。こんな風にするのは」
「当たり前だっ、あっ……んっ」
乳首の周りを弧を描くように撫でられて、尖ってきたものを指先で痛い位摘ままれると、躰に電流が走ったかのように震えてしまう。
上半身を起こしてきた丈に、敏感な部分を舌先で舐められると、ズンっと腰にくる。そのまま乳輪を含む様に大きく吸われると、ゾクゾクとした期待感で満ちていく。
右手で平らな胸を揉み込まれ、舌と唇で容赦なく攻められる。それだけで、もう弱くなった俺のものがふるふると立ち上がってしまう。
強い刺激に喉の奥が鳴ってしまう。だが声はなるべく控えたくて、手の甲で覆って耐えていく。
「丈……だめだ、そんな急に……あっ待てよ」
制止してももう聞いてもらえない。一気に追い詰められ高められていくような気持ちが込み上げてくる。
「ん、んあっ」
俺の張り詰めて高まったものに触れられる。
丈の大きな手のひらで優しく包まれ扱かれていけばぐんぐん硬さを増していくのを、自分の内側から感じる。こんな時……気持ちが飛ばされそうになっていくのを堪えたくて、無性に何かを掴みたくなってしまう。
呼吸が乱れ、躰も自然と揺れてしまう。
古い雪見障子のガラスに俺たちの重なる影がぼんやりと映っていて……丈に跨って向き合うような形で高められていく俺の姿勢が、この上なく恥ずかしく見えてしまう。
「あっ……あ」
恥ずかしくて必死に丈の背中に手をまわししがみ付くような姿勢を取ると、丈が微笑んだ。
「洋は本当に可愛いな。そんなに必死に……くっついて来て」
「そっそれは丈が、こんな姿勢を取らせるからだっ」
「もっとだ、ほらっ」
煽られてしまう。言葉で手先で、どんどん追い詰められていく。丈は巧みに手と口で俺を翻弄させていくんだ。こうやって、いつも……
「そろそろ良さそうだな」
「ん……頼むから……一度だけに……分かってるよな」
「あぁ、そうだったな」
「約束だぞ。あっ…んっ」
聞いているのか聞いていないのか、丈の方も切羽詰まったような表情を浮かべているのが伺えた。いつもクールな丈が、俺にだけ見せてくれるこの表情が好きだ。
「洋、もう挿れるぞ」
「いいよ……もう…来て…」
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