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完結後の甘い物語 『蜜月旅行 15』

「ふぅ……」  小学生の頃までは僕の方が身長も高くて、流は守ってあげないといけない大事な小さな弟だった。だがあの夏、木から落下して骨折したあたりから、少しずつ僕たちの関係は変わってしまった。  ぐんぐん伸びていく弟の身長。  逞しい男の体格になっていく弟の躰。  母親似で女顔と揶揄される僕とは違って、流の父親似で精悍で野性味のある顔立ちは、どんどん整っていった。  傍から「兄弟には見えないね」「似てないね」 「弟の方が逞しいね」などと言われるようになったのも、ちょうどその頃からだ。僕にも兄としてのプライドもあり、それを認めたくなくて、必死にいつも強い兄を演じてきたのかもしれない。  だが離婚後……寺に戻り流と二人の生活が始まり、年月を重ねるにつれて、僕はどんどん駄目になってきている。  食事も洗濯も……更には僕の着替えまで、何もかも流がしてくれるようになって、流と過ごすのが心地良くて、どんどん甘えてしまうようになった。  実は一緒に過ごすようになって、距離が近づけば近づくほど……流の素振りに、まさか……もしかしてと思うことがあるが、兄としては知らないふりを続けている。  それしか出来ないのは、僕と流が血の繋がった実の兄弟だからだ。 (いつも悪いな、流……弱い僕を許してくれ)  それにしても今日は……褌一つ自分でしめられなくて悪いことをした。  そんなことを考えながら床を綺麗に拭きあげ、更衣室内の洗面所で顔を洗っている流の後姿を見つめた。  流は相変わらず若々しく逞しい躰だ。顔を洗う動作で肩甲骨が盛り上がり、躍動感がある美しい筋肉の動きに思わず見惚れてしまった。  逞しい弟。ずっと僕の傍にいてくれる大事な弟。  弟なんだ……流は。  僕と流の関係は、この世では永遠に変わらない。  だが最近の僕は、少しおかしいのかもしれない。  その証拠に先ほど褌の前袋の中のものが……嵩を増しているのを確かに感じてしまった。  参ったな。さっきはまずかった。  最初は初老の僧侶もいて何も感じなかったのに、最後になって流が思いつめた顔で前袋を整えようと指先で触れた瞬間、僕の下半身に何故か血がギュッと集まったのを感じた。  懸命に修行のことを頭で考え、気を逸らしたが……流が鼻血を出さなかったら、あのままどうなっていたのか分からない。  はぁとうとう……流の目の前で、こんな反応をしてしまうなんて、僕は僧侶としても兄としても、本当に修行が足りない。  流は気が付いていないよな。一刻も早く、この煩悩を振り払わないと。  きっと最近忙しくて、自分で処理する時間がなかったからだ。もともと性欲は少ないほうで、離婚後、特にそれを苦痛に思ったことはなかった。  適当にたまれば機械的に出すだけだった。  なのに……なんだろう。  このモヤモヤとした気持ちは。  あ……駄目だ。何故だ?  流の肩甲骨の動きを眺めていたら、再び自分の股間のモノが硬く屹立していくのを感じてしまった。  まずいっ  流が戻って来る前にどうにかしないといけないと思い、焦って、さっき脱いだサーフパンツをはいた。サーフパンツに隠れると、僕の躰も落ち着きを取り戻したようで、静かになっていった。  そのタイミングで、流が僕の前に戻って来た。  ふぅ、危なかった。 「さぁもう海に行きましょう。丈達も待っているから」 「あぁ」  歩きながら、自分の股間にそっと目をやると、もう兆しはなくなっていた。  良かった。さっきのは、やはり一時的なものだったのだろうか。  僕はまたいつもの兄の顔を作って、眩しい太陽が降り注ぐ海辺を流と一緒に歩き出した。  これでいい。  そう、いつものように、納得させた。 ****  潜水してから一気に海面に浮きあがった。 「ハァッ!」  細かい水飛沫をあげながら空気を求めて深呼吸すると、背後から手が伸びて来てぐいっと抱き留められた。 「洋、いい泳ぎだな」 「そう? 久しぶりだけど、ちゃんと泳げていた? 」 「あぁイルカみたいに綺麗だったぞ」 「丈っありがとう! 」  丈も俺と同じことを考えてくれたのが嬉しくて、思いっきり笑顔になった。 「ふっ……洋の笑顔、可愛いな」  丈は俺を抱いたまま近くの岩場に移動し、抱きしめられたまま丈の膝に座るような形を取らされた。 「んっ丈……なんで? もう泳がないのか」 「洋には他にやることがあるだろう」 「えっ……」  嫌な予感がして見回すと、岩場がちょうど陰になって砂浜の方が見えない状態になっていた。  そして眼前には、美しい海しか見えなかった。  まずいな。ここって死角だな。 「洋、知ってるか。ここは穴場なんだよ。この時間帯にはまだ人も少なく、しかもここは深いので小さな子供は近づけない。ほら、海岸からは見えないようになっているだろう」 「そっそれで?」  丈が俺の手を掴み、丈の股間へと導いていく。 そこは……すでに立派に屹立を始めてしまっていた。 「あ……まさか」 「さっき、洋が刺激したから大変なことになっている」 「え? だって……ここ海……人が来たらどうするんだよ」 「大丈夫だよ」  俺の腰を抱きしめている丈の左手が、胸元まで妖しく這い上がって来た。海水から出ている上半身には宮崎の強い日差しが降り注ぎ、海水で濡れた肌が少しべたつく感じがした。 「丈、おいっ駄目だって!」  だが丈は俺の言葉なんて気にせず、さらに動きをエスカレートさせてしまった。そして俺の小さな胸の突起を指で捏ねながら、耳元でとんでもないことを囁いて来た。 「洋、新婚旅行なんだ、なぁ……駄目か」 「だっ! 駄目かって……そんな翠さんみたいなことを!!」

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