629 / 1585
完結後の甘い物語 『蜜月旅行 20』
【R18】
「洋、もっと欲しい……とまらない」
「丈っそんなっ……あうっ」
丈が甘く低い声で囁きながら、背後から胸元へと手をまわしてきた。そして何かを探るように動いたかと思ったら、俺のピンと張り詰めた乳首をきゅっときつく指先で握った。
「んっあっ!あ……」
急激な痛さと快楽で、見開いた目に涙が浮かぶのを感じた。
俺の声に反応するかのように、俺の中に挿入したままの丈の快楽の棒が、ぐんっと力強く膨れ上がったのを感じて腰が震えてしまう。
乳首を一定間隔で何度も前にきゅっと引っ張られ、イッたばかりで敏感になっているペニスをぎゅっと大きな手の平で掴まれて扱かれれば、快楽に弱くなった俺の腰はさらにふるふると震え出してしまう。
反動で仰け反って太陽を仰ぐと、とても眩しかった。
眼前には美しい海と空が、どこまでも青く広がっている。
あまりに強い刺激と快楽によって引き起こされた涙がじわっと双眸から溢れ、視界は霞んでいた。
南国の灼熱の太陽を浴びながら誰か来るかもしれない岩場で、こんな行為に耽るなんて。あまりに大胆な行為に二人で惚けているのが、自分でも信じられない。
「丈っ。んあっ、あんっ……あぁ!」
振動と共に堪え切れない声が零れ落ちて行く。
一刻も早く波に消えてくれ、こんな声は……そう願うしかない。
「洋、もう少し静かに」
「無理っ」
丈の息も荒くなってきている。俺の腰をホールドする力が更にこもり、さらに奥深くへと突きあげて来る。抜き差しも速まり、もう一度二人で高みに上っていく覚悟をした。
波が押しては引くように、丈の激しい出し入れに、心と躰を添わせるのに必死だ。
もうここまで来てしまうと、声をかみ殺すどころじゃない。ひっきりなしに上がってしまう感じた声を、戸惑いながらも辺りにまき散らしてしまっていた
「あっ……あぁ、もう…もう…イク…」
「くっ」
丈の低音の堪えるような短い声と共に、波の飛沫のような白いものがドバっと飛び散った。
****
魚のように海に飛び込んだ流の泳ぐ姿を、岩場に座りながら僕は見守った。
こうやって流が泳ぐ姿を見るのはいつぶりだろう。昔はよく水泳大会を観に行ったよな。僕のことを見つけると嬉しそうにブンブンと手を振ってくれた小学生の頃。中学に入ってからは目が合うと恥ずかしそうに俯いたが、その頬は緩んでいた。
流は、相変わらず綺麗なフォームだ。スピードも速いので、見る見るうちに随分遠くまで行ってしまった。
一旦止まって、子供みたいに手を振る流の様子に、過ぎ去った幼き日々を思い出す。さらに流はそのまま反対方向へと泳ぎ出した。
ふふっ楽しそうだな。これは暫く泳ぎに夢中で、岩場には戻って来なさそうだ。
それにしても……僕も久しぶりにこんな開放的な気持ちになっている。降り注ぐ南国の太陽は明るく、頬を掠める海風は心地良い。そのまま背を倒し、岩場に寝転んで空を仰いだ。吹き抜けていく風に身を任せて目を閉じると、微かな声が届いた。
んっ? 誰かいるのか。
不思議に思って辺りを見回すが、誰もいない。
でも一定間隔で確実に耳に届くのは、小さな悲鳴のような声。
「あ…あぁ…あ…」
あれ? この声……綺麗な声だが男性のものだ。
だが、そんなことはどうでも良い程、とにかく色っぽい上擦った声だった。
一体……誰の声だ。
そこではたと気が付いた。
もしかして洋くんの声か。
あ……じゃあ洋くんにこんな声を出させている相手って丈なのか!
一気に頭の中がパンクしそうになった。
えっここで? まさか……
実の弟とその同性の恋人の情事の声。
もっと耳を澄ませば情事の音まで聴こえてしまう程リアルだった。
僕はどうしたらよいのか分からなくて飛び起きてしまった。まるで全身の血が逆流していくように、変な汗が噴き出た。
「ふっ…あぁ…あ…」
「洋、いいぞ、そのまま」
胸を喘がすような切なげな洋くんの声……
こんなのものは、僕が聴いてはいけない。必死に顔を背け耳を塞ごうとした。だがそう思う心に反して、僕の耳はその声へと集中してしまった。
え……何っ嘘だっ。
驚いたことに、その声に反応して、僕のものが勃起を始めていた。
何故こんなことに? 自分のモノがゆるゆると立ち上がっているのを水着の中に感じ、居たたまれなくなった。
水着の中では充血してじんじんと疼いて苦しい程の大きさになっている。
どうしよう……苦しい。
先端から先走りが溢れ出しそうになっているのを感じ、ふるっと羞恥に震えた。僕の耳に届く情事の声は、どんどん大きくエスカレートしていく。
あぁっもう無理だ。
我慢できない。
誰も辺りにいないのを確認すると、僕の手は震えながらも自分の屹立を掴もうと動き出していた。
ともだちにシェアしよう!