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完結後の甘い物語 『蜜月旅行 22』

 兄さんの表情を、岩陰から凝視してしまう。  すごいな……普段絶対に見せない表情だ。こんな兄さんの姿は初め見た。 もうイク寸前のようで扱く手は一段と速まり、短く熱い息を吐いている。顔にかかる濡れた髪、細い首と薄い肩。それでいて激しい動き。  くそっ駄目だ! 官能的過ぎる! 欲情してしまう!  このまま襲い掛かって、兄さんのすべてを攫いたくなってしまう。 「くっ……丈っ……あっ……もうイクっ、あぁっ!」  やがて洋くんの一際大きな喘ぎ声が上がると同時に大きな白波が、背中に力強く押し寄せた。 「くっ」  強い波に誘われるかのように、兄さんの躰は大きく上下に揺れた。  今だ! 兄さんがイクっ!  その瞬間に上手くタイミングを合わせ、俺もはち切れる寸前まで高まった欲望の塊を強く上下に扱き、一気に放出させた。  兄さんは呆然とした表情で、暫くそのまま固まっていた。やがて乱れたサーフパンツを整えすくっと立ち上がり、腰まで海水に浸かりながら天を仰ぎ見た。  南国の太陽に照らされた色白な顔が心もとなげに揺れていた。やがてその美しい眼から透明の涙が一筋流れた。  おいっどうして今、泣くんだよ。やめろよ、その顔!  見ていられない程、後悔の念が詰まった表情に変わっていった。  一方、裸で抱き合っていた丈と洋くんも揃って達したようで、はぁはぁと肩で息を切らしながら、お互いを支えるように深く抱き合っていた。二人共とても気持ちよさそうな表情を浮かべていた。  辛そうな兄さんの表情と幸せそうな二人の対比に、胸が塞がるような想いが込み上げて来た。  兄さんにも……丈たちみたいな表情をして欲しい!  兄さんにも笑って欲しい!  心の底から笑ってくれよ!  兄さん……好きだ。好きなんだ。 ****  駄目だ、こんなことしちゃ駄目だ。  信じられないよ。海でこんなことをしてしまう自分を止められないなんて、あり得ない。僕は若住職としての仕事が増えれば増えるほど禁欲的な生活になっていった。だが別にそれを苦とも思わなかったのに。  彼女と離婚してから、彼女以外の人とは誰とも寝ていない。もともと……そういうことに淡白だったのか、性生活には結婚してからも積極的ではなかった。  彼女も似た感じだったので息子の薙が生まれてからは、少しずつ疎遠になっていた。離婚後もたまに薙との顔合わせを兼ねて自宅で会い、夜になれば自然に求められ……従ったが、そう多くはないことだ。年に数回の話だ。  そんな僕が何故こんな誰かに見られるかもしれない海の岩場で、一人で自慰なんてしているのか。それが信じられなかった。  あぁもうでも……そんな形式ばったことを考えられない程、頭がスパークしていく。  弟の丈があの逞しい躰で、未だ少年のようにほっそりとした躰つきの洋くんを抱いていた。洋くんの悩ましげな色気ある喘ぎ声が耳に届くたびに、僕のペニスがどんどん大きく変化していった。  僕はその声を通じて、違うシーンを想像していた。  さっきの流とのことを思い出していた。褌の前袋に一瞬触られた時の熱……そうだ、あの熱が忘れられない!  あ……何故、流のことを?  何もかもがごちゃ混ぜになって混乱してしまった。  その混乱は、僕の下半身に熱い血液となり集まり、外に放出しないと収まらない程きつく僕を締めあげてしまう。  目を瞑れば洋くんの感じる声。その声に反応するかのように、流の手を思い出していた。流のあの大きな手の平で僕のここを扱いてもらったら、どんなに気持ちが良いのだろう。  こんなことは駄目だ。実の弟じゃないか。何故僕はこんなことばかり考えてしまうのだろう。でも頭の中だけなら許されるのでは。  結局そんな甘い誘惑に負けてしまった。  気がつくと煩悩を抑え込むのではなく、自ら溢れさせていた。  はぁっ……もう出てしまう!どうしよう!  その時大きな白波が、座っている僕の胸あたりにザバっとかかった。  ピリッ  強く波があたった僕の胸。信じられないことに僕の乳首のあたりが疼いて、そのまま下半身の欲望が一気に弾けてしまった。  あっ出てしまうっ── イク!!  次の瞬間には、引いていく波がすべてを洗い流してくれた。だが迸りは消えても、僕がしてしまった行為は消えない。  僕は何てことをしてしまったんだ。弟の手を想像しながら抜くなんて、ありえないよ。  慌てて腰まで海水に至り天を仰ぎ見た。  南国のあたたかな優しい陽射しを包まれると、後悔と悲しみが湧き出て来てしまった。  ごめん、流……僕は君を汚してしまった。

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