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『蜜月旅行 61』もう一つの月
俺の大事な翠……
腕の中に、このまま閉じ込めてしまいたい。
朝なんて永遠に来なければいいのに。
二人きりで、何処までも流れていければいいのに。
窓の外に広がる月夜の彼方へと……
柄にもなくそんなことを願ってしまった。
俺はこの日が来ることを、一体いつから待っていたのだろう。
腕の中の翠がいつもの兄の顔ではなく、一人の男として、俺の愛撫に戸惑いながらも応えてくれる。その艶めいた表情に不覚にも涙が零れてしまった。
「馬鹿。なんで流が泣く? 」
優しく伸びて来たその手に、今日は数珠は握られていない。
いつも翠が手元にギュッと握りしめる数珠を見るたびに、決して俺なんかが触れてはいけない人なのだと戒められているような気がしていた。
男にしては細い指先で、目元にたまる涙を躊躇いがちにそっと拭われた。
くそっ! その仕草……可愛すぎる。
「夢じゃない……僕…感じてる……流が触れたところが確実に気持ち良くなっている」
信じられないような翠の言葉に、一気に俺のものがパンパンに膨れ上がった。だが焦るな。翠は男を受け入れたことがない。だから細心の注意を払い、痛くないように、嫌にならないようにしてやりたい。
とにかく最初が肝心だ。
そう思う一心で、俺は躰を下へずらし翠の屹立を口にちゅぷっと含んだ。
嬉しい。すでに先端が濡れていたのか。
初めての味をじっくりと味わいながら、翠の躰の一部を、俺の口腔内へ吸い込んで行く。
「あっ! 駄目だっ」
驚いた翠がビクンと腰を揺らし逃げようとするので、力ずくで抱きしめた。
可哀想だが、少しも動けないように。
慣れない行為に怯え羞恥にカタカタと震える躰が、とてつもなく愛おしかった。
性器を咥えていた口を一旦離し、もう一度改めてじっとその部分を見つめると、翠の屹立は先端に露のような蜜を浮かべ小さく震えていた。
はぁ……翠が本当に俺の愛撫で感じてくれたんだな。
「ここ綺麗だ……」
「いっ言うなっ……そんな風に」
小ぶりだが、色も形もすっきりと綺麗な翠の果実に、思わず感嘆の声が出てしまった。それから俺は、もう一度すっぽりと食らいついた。
まるでご褒美をもらった子供のように、甘い飴玉をしゃぶるように丹念に舌先で転がしながら舐めていく。指での刺激でも十分気持ち良さそうにしていた翠のものは、舌という未知の感触に怯えながらも喜んでいるように感じた。
「流……流…」
翠の手が彷徨いながらも俺の髪に触れ、そのまま櫛を通すように撫でられた。
あぁ……この感じ……落ち着く。
わざと焦らすように快感のポイントを外し舐めて吸ってを意地悪く繰り返していると、流石に翠も焦れて来たのか、翠の方からも腰を揺らし自ら股間を押し付けるような動きをしてくれた。
無意識なのかもしれないが、翠が受け身なだけではないことに感動した。
今度は的確に快楽のポイントを突く。亀頭に舌をゆっくりねっとりと這わし、舐めまわし追い詰めていく。
翠の腰が一際大きく震えた。あと一息だ。まずは翠の快楽を引き出し、リラックスさせてやりたい。
「あっ……んっ…ああぁ」
卑猥な水音に煽られた翠が一段と大きな声をあげた。すかさず鈴口に舌先を突き刺すようにして刺激を与え、更に指で輪をかいて竿を扱き上げると、もう息も絶え絶えの翠が、何かを頭上でうわ言のように呟いていた。
「なんだ?」
「もう……出るっ! 出てしまうから離してくれ!」
俺の頭を涙声で押し返そうとする、頼りない力すらも愛おしい。
「いいから出せ! そのまま! 」
「駄目……駄目だ。流にそんなことは出来ない」
ずっと欲しかったんだ。
翠の何もかもを奪いたい。翠から放たれるものは一滴たりとも逃したくない。
そんな想いで、翠をいよいよ最後まで追い詰めた。
作者よりメッセージ (飛ばしてもらって構いません)
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志生帆 海です。こんにちは!
蜜月旅行だけで60話を超えるとは。
しかもここ数日ほぼRのみという展開です。
この分だと、流と翠の初Rはしつこい位長くなってしまうかも。
Rは結構書くのに体力奪われますので、皆さまからの反応やスターに感謝しています。ものすごく更新の励みになっています!
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