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引き継ぐということ 33
「欲しい……」
煽ったのは俺の方だが、いざ翠の口から強請るような言葉を聞くと、いたたまれないような、嬉しいような気持でドロドロになる。
穢れなき兄である翠を抱いたのは俺だ。
信じらないことに翠の方も、それを受け入れ俺に抱かれることを厭わない。
更にはこんな風に求めてくれる。
こんなことが現実に起こるなんて、夢のまた夢だった。
翠の窄まりを潤滑剤のジェルでたっぷり濡らし、俺のもう限界まで上り詰める寸前の屹立にもしっかりとつけた。翠の躰を傷つけるわけにはいかない。
「挿れるぞ」
「ん……」
目元を朱色に染め上げ、眼を瞑って頷く健気な姿。その顔をじっと眺めながら様子を伺いながら、自身を埋め込む。
「んっ」
挿入の瞬間はやはり苦しくきついようで、翠の閉じた瞼が震え唇をきゅっと横にきつく結ぶ。
余裕がない中でも、必死に理性を保って、翠のことを気遣いたい。
躰に負担を強いられているのは翠の方なのだから。
やがて俺が緩やかに動き出すと、多めに塗ったジェルが摩擦により卑猥な音をグチュグチュと立て始める。
それから翠の息遣いも微かに聞こえて来た。
堪え気味な呼吸は浅く速く……
そうか雨が止んだのか。
翠を抱く茶室は、今は静寂に包まれていた。
よく耳を澄ませば遠くに滝の音。
だが俺が聴きたいのは翠の声。
付け根まで挿入し見下ろせば、翠はその薄い胸を上下させ、艶やかに肌を染めていた。
あぁもう堪らないな。その顔は煽ってるのか。
俺が動きを止めたので、翠が目を開き不思議そうに見上げて来た。
その目は欲情に揺れ、俺だけの翠そのものだった。
「流……どうして…」
「動いて欲しいのか」
「なっ」
悔しそうに、それでいて欲しそうな表情を浮かる姿が可愛すぎて、俺の腕でギュッと掻き抱く。俺の胸と翠の胸を密着させ、速まる心臓の音を分け合って、優しいキスを何度も交わす。
濡れていく唇の端を舌で舐めとって擦るように愛撫してやる。下半身が繋がったままの翠は、うっとりとした表情を浮かべている。
その唇で啼けよ、啼いてくれ。
もっと……もっと求めていいか。
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