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番外編 安志&涼 『SUMMER VACATION』1
おはようございます。まずはご挨拶から入らせて下さい。(この創作スタイルが受け入れられない方、すみません。)
さて予告通り、今日から番外編です。
最近シリアス展開が多かったのと、以前したTwitterアンケートで安志に一票も入らなかったのが不憫で、お礼SSは安志にしました。1位の丈さんは最近(昨日も)かなり良い思いしていましたから(笑)
番外編SS 安志&涼 『SUMMER VACATION』をどうぞ!
ちょうど丈と洋が結婚して一年後の夏休みの様子です。
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暑い……
今年の夏は、なんて暑さだ。
朝起きたら全身汗まみれで速攻シャワーを浴びた。だが浴室から出た途端、またすぐに汗が噴き出る。悪循環だから、流石に冷房入れるか。
それにしてもカウンターに置いてあるカレンダーの赤丸印を見る度に、ついニヤリと笑ってしまう。
今日この後を考えれば、こんな暑さなんて我慢できる。何しろ今日から二日間は、俺と涼の貴重な夏休みだ。
俺は手早く着替え、あの日壊れた時計を腕につけて飛び出した。
さぁSUMMER VACATIONのスタートだ!
車で涼のマンションの前まで迎えに行くと、涼はサングラスにキャップを目深に被り、マンションの白いタイルの外壁にもたれて待っていた。
すらりと伸びた長く細い脚。細身のジーンズが本当によく似合う、まだ少年の面影が色濃く残るほっそりとした身体。
程よく鍛えてもいるのもいい。
しなやかな……そういう例えが良く似合う涼。
黒いキャップから覗く茶色の柔らかそうな髪が夏の日差しを浴びて、揺れている。
俺が来てから下に降りてこいって言っておいたのに……
こんな暑い中大丈夫か。誰かに見つからないか心配だ。でもこんな風に、先に待っていてくれる涼の行動が好きだ。
「涼、待たせたな」
「安志さん、久しぶり!」
助手席に座るとすぐにサングラスとキャップを取った涼の横顔は、相変わらず見惚れるほど綺麗で輝いていた。
会うのは三週間ぶりか。
「ニューヨークへの帰省はどうだった? ご両親も元気だったか」
「うん久しぶりだから喜んでもらえたけど、パーティーや美術館などあちこち連れまわされて疲れたよ。安志さんにお土産があるから後で渡すね」
「そうか!嬉しいな」
涼は大学の夏休みを利用して、ニューヨークの両親のもとへ十日ほど帰省していた。俺もちょうどその期間は出張やらで忙しかったので、我慢出来た。
帰国後は明日までオフだと聞いて、俺も慌てて夏休みを取得したってわけだ。
「安志さん、それでどこに行くの?」
「あーそれ……悪いな。涼のプライベートを確保出来るようなホテルが夏休み期間だし、急で見つからなくて……行先さ、また洋の家なんだ。それでもいいか」
「えっそれ嬉しい! 洋兄さんに会えるの?」
「あぁ、みんな待っているよ」
「嬉しいよ!またあの人たちに会えるのか」
こうやって涼を連れて丈さんと洋の住む北鎌倉の月影寺に行くのは、あの春休み以来だ。
俺は怪我の療養をかねて……涼も騒ぎが落ち着くまで雲隠れしろというモデル事務所の命令で、お互いに一週間の休みをもらい月影寺に身を寄せたのだ。
月影寺には洋がいる。涼の日本での拠り所でもあるので、お互いにとても居心地が良かった。
洋も従兄弟の涼のことが可愛くて仕方がないし、洋の新しい兄さんたちもいい人だった。
翠さんは立派な僧侶で、流さん豪傑で粋な人で楽しかった。
「楽しみか」
「うん! もちろんだよ。ちょうど洋兄さんたちにもニューヨークのお土産を送ろうと思って持ってきたんだ」
「じゃあ直に届けられるな」
****
「安志、涼、待っていたよ」
渋滞に巻きこまれ時間がかかったが、北鎌倉の月影寺の山門に着くと洋が嬉しそうに待っていた。
洋と会うのは春以来だ。
また一段と美人になりやがって……相当丈さんに愛されてんな。
「洋、久しぶりだな。翠さんたちは?」
「翠さんは読経中で、流さんは工房にいるから……あと薙くんはクラブの合宿中だよ」
「薙って……あの翠さんの息子か」
「うん、そうえいば安志はまだ会ってなかったな。春に来た時はちょうど薙くんはお母さんの方の実家に行っていたしな」
「まぁでもそれでいいよ。これ以上そんな若い子に、男同士のアレを見せつけるわけにもな」
「おいっ! ただでさえ薙くんは年頃で敏感なのに……あっそうだ! 今日泊まるのは前の流さんの部屋でいいか」
「あーそっか、そっちも引っ越したのか」
「そういうこと!」
洋は朗らかに嬉しそうに笑っていた。
****
「へぇ……なんか面白い部屋だね……奇抜っていうの?」
「あぁ斬新だ」
流さんが使っていた部屋というのは、壁が水色に塗りたくられていた。
「これじゃ……まるで海の中だね」
涼が言う通り、まるで四方八方が青で、まるで海のようだ。
「あっそうだ。これ安志さんにお土産……気に入ってもらえるかな」
持ってきたリュックから涼が綺麗にラッピングされたものを出してくれた。
「なんだ? 嬉しいな」
「う……ん、そのパンツなんだ」
「はぁ?」
「だから……その今ニューヨークではそういうマイクロボクサータイプが流行っているらしいんだ。安志さんはいつもゆったりしたのだからさ……その、そういのも似合うかなって」
語尾がどんどん小さくなっていくのが、可愛すぎだろう。
俺の恋人はどうしてこんなに行動まで可愛いのか。
随分煽る土産だなと苦笑しながらも包みを開けてみると、有名ブランドのデニムを模した生地の洗練された雰囲気のパンツだった。
だが、これってマイクロローライズを通り越してビキニのようだが……しかもこれって妙に小さくないか。
思わず広げてサイズを確認してしまった。
「おいおい……これサイズSSだってよ、俺これ履けないよ」
「えーMを買ったはずなのに……なんでだよぉ……」
涼が袋を奪い取って確認して、がっくしと肩を落とした。
「あー元気だせよ、あっでもこれ涼にぴったりじゃん?」
ジーンズの上からそのパンツを涼にあてがってやると、涼が真っ赤になった。
「え? うっ……そんなつもりじゃ。あーこれビキニタイプだし……僕こんなの買ってない」
真っ赤になってプルプルと首を振る様子が可愛くて、ますます苛めたくなる。
「いやいや涼が履いたら、絶対似合うって……」
なんだか涼には申し訳ないが、期待が高まっていく。
涼からもらったはパンツは、腰紐のような華奢なゴムのウエストに股間だけが袋で包まれるようなかなり際どいデザインだ。
間違えとはいえ……もしかして、これはかなり役得じゃ。これを履いた涼の肢体を想像し、生唾を飲み込んだ。
「安志さん! 今、変な想像したね!」
「くくくっ、ごめんごめん。でもさ、せっかく洋が気を使って……誰も近くにいないこの部屋を用意してくれたんだから、いいだろう? 俺、見てみたいよ。これ履いたところ。きっと似合うからさ」
涼を軽く抱き寄せて、耳元で甘くお願いする。
「なぁ……見せてくれよ」
「うう…ん」
渋々了承する涼の様子に、これは夜が楽しみだと思った。
恋人にエロい下着をつけさせてゆっくり脱がすのって醍醐味だよな。
俺って本当に涼の前じゃ、高校生のガキみたいに血が騒ぐよ。
恥ずかしいが、せっかくのSUMMER VACATION!なんだ。
「安志、涼~荷物置いた? 降りておいでよ」
「おっプールの時間か」
洋が言うにはこの月影寺のプライベートな庭に、今年は大人でも楽しめるプールを買ったという話だった。
もう何もかも忘れて、弾けたいよ。
いつも真面目に働いているし、どんどん有名になっていく涼と三週間ぶりの逢瀬だ。
よしっ羽目外すぞ!
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